欧州委、2007-13年の農村開発予算の配分を決定


農村開発予算の7年間の総額は776億6,277万ユーロ、ポーランドが17%を占める 

 欧州委員会は9月12日、2007−13年の各年、各加盟国の農村開発予算の配分を決定した。これは、2005年12月に決定した同期間のEU予算の枠組みを、具体的にするものである。この予算の枠組みは、EUの予算支出を確実にすることや、中期的な支出および年度予算の決定をスムーズにすることができるなどの理由から、設定しているものである。 

 今回決定した予算額は、7年間の総額で776億6,277万ユーロ(11兆7,271億円:1ユーロ=151円)となっており、各加盟国への配分は、2000-06年の農村開発予算の実績や、EU全体の開発速度に照らして開発が遅れている地域数などを加味して決定されている。

 加盟国別の配分額を見ると、ポーランドが最も多く、全体の17%に相当する132億3,003万ユーロ(1兆9,977億円)、次いでイタリアが82億9,201万ユーロ(1兆2,521億円)、ドイツが81億1,252万ユーロ(1兆2,250億円)、スペインが72億1,392万ユーロ(1兆893億円)となっている。

 今回の予算配分の決定に関し、フィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は、「農村開発のための予算は、農業食品分野の競争力を高めるために使用され、地方の環境対策を支援する極めて重要なものとなっている。また、この予算は、農村地域の新規雇用や新規事業の創出を支援するためにも使用される」とEU予算の中でもこの農村開発予算が雇用創出などに貢献していると述べている。


同期間の農村開発政策の指針を適用

 EUの農相理事会は2月20日、同期間のEUでの農村開発政策の実施に当たっての指針(guideline)に関する理事会決定を適用した。この指針は、加盟国で作成する農村開発計画に盛り込む手段などを定めたものとなっている。

 この指針では、(1)農業などの競争力の強化、(2)環境と地方の改善、(3)生活の向上と農村地域経済の多様化、(4)地域の団体が主体的に取り組む事業に対する助成−の4つの柱からなる目的を掲げている。

 それぞれの柱の主な内容は次のとおり。

 (1)農業などの競争力の強化

  ・農家への職業訓練やアドバイスを通じた、人的資本の育成

  ・青年の就農支援

  ・農業を行うためのインフラの整備

  ・食品品質制度への参加、EU基準への適応の支援

  ・新規加盟国の半自給農家の競争力を高めるための支援

 これらの対策の実施については、各加盟国の農村開発予算の最低10%を使用することとし、EUの補助率は、50%となっている。

 (2)環境と地方の改善

  ・中山間地域の条件不利地域の農家に対する補助金の支払い

  ・農業分野での環境対策に対する支援

  ・動物福祉を改善するための支払い

 これらは、農村地域の自然や景観を保護し、価値を高めるために実施するもので、各加盟国の農村開発予算の最低25%を使用することとし、EUの補助率は、最高55%までとなっている。

 (3)生活の向上と農村地域経済の多様化

  ・農家の農業活動以外への取り組みへの支援

  ・小規模事業の創出を支援

  ・グリーンツーリズムの奨励

  ・農村の再編

  ・女性の再雇用を支援するための保育所などのサービス

 これらの対策の実施については、各加盟国の農村開発予算の最低10%を使用することとし、EUの補助率は、50%となっている。

 (4)地域の団体が主体的に取り組む事業(LEADER事業)に対する助成

 農村地域の人々やグループが、農村地域の持続的発展のための事業を実施することに対する助成。これらの対策の実施については、各加盟国の農村開発予算の最低5%を使用することとしている。


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