ラム肉生産量は中期的に増加傾向を維持の見込み
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、9月、2006〜10年までの羊肉の中期需給予測の更新版を公表した。これによると、ラム肉生産量は、国内外の強い需要を背景として増加傾向を維持するとともに、取引価格は引き続き高水準で推移すると予測している。ラム肉生産量は、2006年には38万8千トン(前年比3.4%増)と過去最高となり、2007年には、さらに前年より4.4%増加するとみている。ただし、それ以降(2008〜10年)は、最近5年間の干ばつや羊毛価格の低迷などの影響により増加率は2%程度にとどまると予測している。
また、マトン生産量については、飼養頭数の再構築が遅れることから、中期的には2006年の水準を下回って推移するものとみている。
羊の飼養頭数は、1990年以降減少傾向となっており、大干ばつとなった2003年には56年ぶりに1億頭の大台を割った。その後、回復基調となり、2005年には1億2,660万頭となったが、再び減少傾向に転じ2007年には1億頭程度になるとみている。その後の飼養頭数は、再び緩やかに回復に向かうとみている。
国内外の強い需要が好調の背景
ラム肉生産が好調な背景には、特に4〜5年前からラム肉に対する国内外の需要が顕著となったことがある。
輸出については、肉用種ラム肉の需要が強い米国や日本を中心として、2007年には前年比7%増の15万7千トンと過去最高を見込み、その後も増加傾向を維持するとみている。特に日本向けについては、ジンギスカン料理などのフードサービス向けや小売向けの需要が引き続き強く、2006年には前年比30%増、2007年には同13%増の1万6千トンと大幅な輸出の増加を見込んでおり、最大の輸出相手国である米国に次ぐ輸出量になるとみている。
国内需要については、近年、小売価格が高水準にあるものの、ラム肉の高品質化、健康イメージの定着や好景気を背景として堅調に推移した。2006年の消費量は、わずかに前年を上回る水準となり、中期的にもわずかながら増加傾向が続くとみている。
飼養頭数の再構築が遅れるなか肉用種は増加
MLAが、今回の中期需給予測に先立ち8月に公表した羊飼養農家を対象とした調査によると、2006年6月末現在のラムの飼養頭数は、2,700万3千頭と前年を6%下回っている。内訳を見ると、毛用種のメリノ種が同12%減、メリノ種との一元交雑種が同1%減となったのに対して、肉用種が同16%増と大幅に増加した。この結果、品種別の比率は、メリノ種が前年と比べて4ポイント減の62%、一元交雑種が1ポイント増の22%、肉用種が3ポイント増の16%となった。
また、2005年6月〜2006年5月の間に繁殖に供するメス羊頭数は、前年比3%減の4,400万1千頭と2003年以来初めて減少に転じた。内訳は、メリノ種が前年比8%減の2,600万7千頭、一元交雑種は増減なく1千万4千頭、肉用種が同13%増の700万頭となっている。この結果、産子数は、前年比3%減の3,700万2千頭を見込んでいる。
これは、最近5年間の干ばつにより家畜の生産性に影響がみられること、羊毛需要の減少・価格低迷に伴い農家経営収支が悪化していること、肉用種ラム肉の需要が拡大していることなどの状況を反映したものとみている。
フィードロットにより生産されるラム肉が増加
また、この調査では、羊の飼養状況を調べている。これによると、干ばつなどの影響により緊急的に飼料を手当てするケースおよび肉用種生産農家の増加を反映して、補助飼料給与や穀物仕上げをするケースが多くみられる。2006年3月〜2007年5月に出荷されるラムのうち、720万頭(全体の26.7%)に対して12カ月間以上緊急的な補助飼料の給与を実施するとしている。また、同期間に出荷されるラムのうち、これまでで最高の230万頭(同10.3%)がフィードロットから出荷される見込みとなっている。
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