例年を大幅に下回る降雨量、生産は前年度比36%の減少
豪州農業資源経済局(ABARE)は9月19日、四半期ごとに発表している最新の穀物生産予測を発表した。これによると06/07年度の冬穀物の生産量は、主要生産地での降雨量低下が影響し、前年度比36%減の2,599万トンと前回予測を大幅に下方修正した。また、夏穀物の生産見通しについても、冬場の降雨量減少による土壌状態の悪化などから、前年度比14%減と減産を予測している。
○冬穀物−主要生産州で軒並み大幅減産
今回のABAREの見通しでは、2006/07年度の冬穀物生産量を前回予測(6月)より1千万トン以上も下方修正した予測となった。この大幅な減産の要因としてABAREでは、主要穀物生産地を中心に例年に比べて降雨量が少なく、作付けや生育に大きな影響を与えたことを挙げている。特に西オーストラリア(WA)州では、穀倉地帯の降雨量が例年の半分以下の水準と干ばつともいえる状況であったこと、また、冬穀物の生育に欠かせない8月の降雨量が、各生産地で記録的な少雨となったことが大きいとしている。
冬穀物の生産予測を地域別に見ると、WA州が前年比41%減の843万トン、ニューサウスウェールズ(NSW)州が同32%減の758万トン、南オーストラリア(SA)州が同37%減の455万トンと、主要生産州ではいずれも大幅な減少としている。2006年4〜8月の降雨量をみると、WA州では穀物生産地域となる北・中部海岸地域で例年の半分以下、NSW州では、南部の一部を除き50〜60%程度の水準にとどまるなど天候条件の悪化が広がっている。この先、天候面での改善がなされたとしても、作付面積は前年度を15%下回っていることから、大きな収量の回復は望めそうにはない。
06/07年度の主要夏穀物の生産予測
○夏穀物−全体では前年度比14%、ソルガムは増加
一方、06/07年度の夏穀物の生産見通しについては、全体の生産量は前年度比14%減の390万トンと予測している。作物別の生産予測を見ると、家畜の飼料として利用されるソルガムは、バイオエタノール燃料の原料として注目され作付面積が拡大傾向にあることなどから、前年度比13%増としている。一方、ソルガム同様、家畜飼料としての用途を持つ綿実の生産量は同32%の減少、また、米についても同62%減としている。
06/07年度の主要冬穀物の生産予測
穀物生産の減少で地域経済に影響も
干ばつともいえる降雨量の減少は、穀物生産農家の経営圧迫につながり、農業を核とする地域経済に悪影響を及ぼすとの懸念も持たれている。全国農業者連盟(NFF)は「(農家経済の圧迫で)流通段階や小売業を通した地方経済への影響が懸念される」とのコメントを発表し、気象条件の悪化による影響への不安を強く訴えている。
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