AI再発の影響は軽微と説明
タイでは7月中旬以降、同国北部のピチット県および東北部のナコンパノム県で鳥インフルエンザ(AI)が再発している。同国ブロイラー協会は、今回のAI再発が鶏肉販売へ及ぼす影響について、国内消費にはわずかながら影響がでるものの、輸出は鶏肉調製品が主体であり影響はないと予測している。また、2004年に同国内でAIが発生した時と比べると、加熱調理品は安全であるという認識が消費者にも浸透しているので、冷静な対応が目立つとしている。
同国のアグリビジネストップ企業であるチャロン・ポカパン・フーズ社(CPF)も、一部地域における鶏肉販売量の低下は認めているものの、総体的な影響は少ないとの見方を示している。同社によれば、AIが発生した両県において、鶏肉の販売量は以前と比べ20%程度低下しているものの、そのほかの地域では特段の影響がないことを強調している。また、KFCなど大手ファストフードチェーンが、同社から鶏肉調製品の購入を継続しているほか、レストランやホテルなどの顧客からの受注も続いているとしている。
同社は、第一に加熱調理された鶏肉の安全性が既に周知されていること、第二に同社が加熱調理された鶏肉のみを食べるように積極的なPRを実施していること、第三にタイ政府によるAIの抑制が可能との理由から、今回の同国内におけるAI再発が鶏肉調製品などの販売量に及ぼす影響は少ないとしている。
また、同国政府は8月下旬、AIが再発している地域を中心に80万人のボランティアを動員して、AI啓発に係る戸別訪問キャンペーンを実施した。病気で死んだ家きんなどの扱い方やAIから身を守る方法などについて、分かりやすい標語や漫画などを用いて周知を図っている。
CPF第2期決算への懸念
同社は8月4日、2006年第2期(4月〜6月)の決算概要を公表した。これによると、今期における純利益は、10億2,300万バーツ(約30億7千万円、1バーツ=3円)となり、純利益が27億3,300万バーツ(約82億円)であった前年同期と比べ約63%の減益となった。また、1月から6月までの通期では、純利益が15億7,300万バーツ(約47億2千万円)となり、前年同期と比べ約61%の減益となった。同社によると、AIの世界的な拡大により、タイ国内における鶏肉の販売価格の低下やトルコの子会社の営業不振などを招いたことが減収の要因としている。
決算概要では、正味売上高が122億6,300万バーツ(約367億9千万円)となり前年同期比12%増となったものの、子会社の売り上げが前年同期の24億2,900万バーツ(72億9千万円)から約53%減の11億4,500万バーツ(約34億3千万円)と大幅に減少した。また、費用については、前年同期より15億9,400万バーツ(約47億8千万円)増の122億8千万バーツ(約368億4千万円)となっている。費用の上昇については、原油価格の高騰によるコストアップなどが主な要因とみられる。
同社は、今回のAI再発による影響は少ないとの見解を示しているが、すでに第2期決算ではAIの世界的な拡大などにより大幅な減益を示しており、今後の影響が懸念されるとしている。
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