民間部門の投資増加を図った3IMPが発表される
マレーシア政府は8月18日、2006年から2020年に至る第三次産業基本計画(3IMP:Industrial Master Plan)を発表した。3IMPは、同国を2020年までに先進国の仲間入りをさせるとする2020年ビジョンにリンクさせた最終段階とされている。製造業、サービス業および農業を三本柱とし、この期間の年平均の経済成長率を6.3%、そのうち農林水産業の成長率を5.2%とする目標を設定している。今回の計画では、民間部門からの投資を増加させるとし、2005年における対GDPに占める民間投資の割合8.9%を2020年には11.6%に高めたいとしている。
計画では、産業を非資源依存および資源依存の12分野に分け、それぞれのメニューを準備した。農業関係では、農産物をベースにした製品の製造を振興するとし、中でもハラル事業に関しては潜在的な輸出市場が存在し、製品の競争力を増すことによって市場開拓が有望になるとした。なお、第一次計画(1IMP:86〜95年)では外国からの直接投資と輸出拡大のための諸施策が講じられ、第二次計画(2IMP:96〜05年)では製造業の国際競争力の強化と経済活動の基盤整備を中心とした施策が採られた。
大規模化と競争力の強化が食品加工産業の課題
今回発表された計画の中で、これまでを振り返り、食品加工産業の形態は農業部門と密接な関係を持つ一方で、主要食品の生産は食品加工産業の発展とともに、付加価値の向上、加工の高度化および市場の拡大に関して相互的に関係を強化してきたとしている。飲料およびたばこを含む食品加工業部門の2IMP中の生産額の平均増加率は6.1%で、特に2005年は9.9%の高い伸びであった。このような状況を背景に、1996年には28億リンギ(896億円:1リンギ=32円)であった加工食品の輸出額が2005年には78億リンギ(2,496億円)になり、この間で2.8倍の大幅な伸びを記録した。今回の3IMPにおいては、これまで増加した中小の国内食品加工企業が、内外の市場において独自のブランドを定着させるため、生産規模の拡大とともに競争力の強化が望まれるとされている。
ハラル事業を制度的に推進し、原料確保などに優遇措置
3IMPの食品加工部門において、ハラル事業の振興は重要分野とされ、組織的なサポートを行うとしている。マレーシアを国際的なハラルハブとして確立したいとしており、国際貿易工業省(MITI)がハラル事業の全般を所管するとしている。具体的には、1976年商標法に基づくハラルロゴの証明機能を備えた統一化と標準化、認証手順と費用の徴収事務の円滑化、そしてプロモーション活動の強化である。
一方、ハラル食品に限らず、食品工業には原料の確保が重要であるが、政府は、第三次農業計画(NAP3)の下、生産、加工、流通、販売を包含した農業の近代化、商品化および技術集約化を行い農産物の国内生産を振興するとともに、国内の需要に応じて関税の免除により原料の入手を容易化したいとしている。また、輸出を振興するほか、食品工業団地の造成、コールドチェーンの構築および中小企業製品の大規模商業店舗での取り扱いを進めるなど、インフラ整備とともに内外の市場を開発することにより計画を実現したいとしている。
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