ミシガン州のコブハクチョウは低病原性と確定
米国農務省(USDA)は8月28日、同月14日にH5N1型の鳥インフルエンザの確認を公表したミシガン州の2羽の野生のコブハクチョウの病原性について、USDA国立獣医療試験場(NVSL)で行われた確定診断の結果、低病原性であったことを公表した。
USDAでは当初、H5N1型ウィルスは、2羽の野生のコブハクチョウから採取した20のサンプルのうち二つのサンプルに存在し得るとしていたが、今回の確定診断の結果、一つのサンプルにおいてのみ、低病原性の北米型ウィルスが確認されたとしている。また、遺伝子解析では、当該サンプルについて、前回の公表と同様に、諸外国でまん延するH5N1型の高病原性鳥インフルエンザの可能性を完全に否定しており、ヒトの健康にはまったく影響がないことを強調した。
USDAおよび同内務省(DOI)は、高病原性鳥インフルエンザの侵入防止および早期摘発のため、各州と連携して、全米を通じた野鳥からのサンプル採取に取り組んでいるとしている。
メリーランド州、ペンシルベニア州でも低病原性鳥インフルエンザを確認
USDAおよびDOIは9月1日、メリーランド州の野鳥のふんから採取したサンプルでH5N1型の鳥インフルエンザウイルスを、さらに同2日には、ペンシルベニア州の野生のマガモから採取したサンプルでヘマグルチニンがH5型とノイラミニターゼがN1型のそれぞれ異なる鳥インフルエンザをそれぞれ確認したことを公表した。
両省では、それまでの検査結果から、両事例におけるウィルスは、低病原性の鳥インフルエンザであるとし、アジア、欧州、アフリカ諸国でまん延するH5N1型の高病原性鳥インフルエンザの可能性を否定した。
メリーランド州での確認は、オハイオ州立大学が行っている鳥インフルエンザ調査の一環として8月2日に、同州クイーンアン郡に定住する野生のマガモのふん便から採取されたものである。このマガモには臨床症状が見られなかったため、当該サンプルの確認検査は緊急性が必要とされていなかった。しかし、同月24日、アイオワ州エームズのNVSLに当該サンプルが届けられ検査した結果、NVSLは同月31日、H5N1型の鳥インフルエンザ陽性であることを確認した。また、9月1日に行われた遺伝子解析の結果、当該ウィルスは、これまでに北米で発生した低病原性のものに類似しているとされた。
一方、ペンシルベニア州での確認は、拡大した野鳥監視計画の一環として、USDAとの連携協定の下8月28日に、同州クロフォード郡で同州の猟鳥機関の職員により捕獲されたマガモから採取されたものである。このマガモには臨床症状は見られなかったため、低病原性の鳥インフルエンザであると考えられた。また、H5N1型には感染しておらず、ヘマグルチニンがH5型とノイラミニターゼがN1型のそれぞれ異なる鳥インフルエンザに感染した可能性もあるとされた。
両省では、検査プログラムの強化により、今後も追加的に鳥インフルエンザが確認されることが想定されるが、懸念する必要はないことを強調している。
なお、USDAは9月12日、メリーランド州の野生のマガモのふん便から分離されたH5N1型のウイルスが、また、同月23日には、ペンシルベニア州で野生の留鳥のマガモから分離されたウイルスについても、確定診断の結果、北米型の低病原性であったことを公表した。
アラスカの渡り鳥のサーベイランスを継続実施
また、ジョハンズ米農務長官およびケンプソーン同内務長官は8月29日、アラスカ州において、渡り鳥を介した高病原性鳥インフルエンザの侵入を監視するため、両省は同州当局とともに、2006年4月以降、13,000羽以上の渡り鳥を検査した結果、アジア、欧州およびアフリカ諸国でまん延するH5N1型の高病原性鳥インフルエンザはこれまで確認されていないことを公表した。
この全国野鳥サーベイランスおよび早期摘発計画は、ブッシュ米大統領が2005年11月に公表した「全国流行性インフルエンザ計画(National
Strategy for Pandemic Influenza)」の一環として実施されているものであり、2006年には、全米全体で、75,000〜100,000羽の野鳥の抽出検査が行われることとなっている。
同内務長官は、「アラスカ全土における野鳥に対するこれまでの抽出検査では、H5N1型の高病原性鳥インフルエンザは確認されていないものの、われわれは、当該計画を通じ、警戒を継続しなければならない」と述べた。
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