2006年も牛枝肉卸売価格の上昇傾向続く


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 雄牛、去勢牛ともに本年1〜7月は前年同期を上回る ● ● ●

 欧州委員会は毎週、EU25カ国の雄牛(2歳齢以下の非去勢牛:グレードR2とR3の加重平均)および去勢牛(グレードR3とR4の加重平均)の100キログラム当たりの枝肉卸売価格を公表している。これによると、直近の2006年7月の雄牛価格および去勢牛価格(加重平均)はそれぞれ、前年比9.2%高の314.2ユーロ(47,758円:1ユーロ=152円)、同7.4%高の301.8ユーロ(45,874円)といずれもかなりの程度上昇した。

 雄牛枝肉卸売価格は、2004年9月以降一貫して前年同月を上回る状況が続いており、2006年1〜7月の100キログラム当たりの平均枝肉価格は、前年同期比11.7%高の326.1ユーロ(49,567円)とかなり大きく上昇した。一方、2003年11月以降前年同月を上回って推移していた去勢牛枝肉価格も、2005年7月〜10月はいったん前年同月を下回ったものの11月以降は連続して上回っている。2006年1〜7月は前年同期比4.8%高の304.0ユーロ(46,208円)と、雄牛と同様に高値傾向を維持している。

 この主な要因として考えられるのは、供給面では、域内生産量が伸びない中、アルゼンチンの牛肉輸出制限措置などにより輸入量が減少したことが挙げられる。一方、域内外における鳥インフルエンザの発生が、近年増加傾向で推移している牛肉消費量をさらに押し上げたことも一因と考えられる。

去勢牛枝肉卸売価格の推移

 

● ● ● 雄牛枝肉価格、今後は下落基調が続く可能性も ● ● ●

 しかし、雄牛枝肉卸売価格は、長期間続いた上昇の反動から前年同月比では上回っているものの、2006年4月以降4カ月連続して前月を下回っており、7月はピークとなった2006年3月(338.3ユーロ:51,422円)と比較して7.1%安となっている。7月28日に欧州委員会が公表した中期予測によると、2006年のEU15カ国の牛肉生産量は前年比1.0%増の734万トンとわずかながら増加すると見込まれていることから、近年は上昇基調で推移してきた雄牛の枝肉価格も、今後は下落傾向が続く可能性もある。

● ● ● 主要牛肉生産国の枝肉価格も上昇基調 ● ● ●

 また、イギリス食肉家畜委員会(MLC)が毎月公表する主要牛肉生産国別の肥育牛枝肉価格も同様に上昇基調で推移している。2006年1〜6月の100キログラム当たりの肥育牛平均枝肉価格は、EU最大の牛肉生産国のフランスが前年同期比16.3%高の335.8ポンド(76,227円:1ポンド=227円)、第2位のドイツが同6.7%高の321.2ポンド(72,912円)、第3位のイタリアが同12.6%高の354.9ポンド(80,562円)といずれも昨年前半と比較して高値基調を示している。なお、第4位のイギリスは、30カ月齢以上(OTM)牛の処分対策が2005年11月に終了したことで、牛肉の流通量が増加するとの見方から一時的な価格低下が予想されたが、輸出を含む強い牛肉需要を背景として、同3.6%高の280.8ポンド(63,742円)と上昇率は最も小さいものの上位3カ国と同様に上昇した。

主要牛肉生産国の肥育牛枝肉価格

資料:MLC


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