2006年上半期の牛肉輸入量は、前年同期比11.7%減


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● カナダの生体牛輸出再開で、牛肉輸入量は大幅減少 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、2006年上半期の牛肉輸入量(枝肉重量ベース)は前年同期比11.7%減の74万トンとかなりの程度の減少となった。

 また、2006年上半期の輸入量を国別に見ると、豪州が同7.0%増の19万4千トンと増加した一方、カナダが同27.9%減の19万8千トン、ニュージーランドが同10.3%減の15万1千トン、ウルグアイが同33.5%減の8万9千トンとなっている。

 前年同期に輸入量第1位であったカナダは、2005年7月から米国への生体牛輸出が再開されたことを受け、牛肉から生体牛へ輸出形態を転換したため前年同期の約3分の2の水準に激減するなど、輸入量全体を大きく左右した。また、近年好調に推移していたウルグアイからの輸入量は、2006年1月以降前年同月を下回って推移しており、その要因としてUSDAは、ブラジルやアルゼンチンが口蹄疫の発生などでロシアやEUなどへの輸出を制限されている状況において、ウルグアイがそれらの国へ輸出を増加させていることを挙げている。今後も同国の輸出動向が米国の輸入量にも影響を与えるとみられている。


● ● ● 乳牛のとう汰により、国内の赤身肉の供給量増加● ● ●

 USADによると、このような輸入量の減少には、国内の赤身肉の供給量の増加が背景にあるとされる。米国西部と大草原地帯では、継続する乾燥した天候により牧草の状態が悪化し、乳牛のとう汰が例年より早まっている。2006年上半期のと畜頭数は、前年比4.7%増の1,663万9千頭で、内訳を見ると乳用経産牛は同0.1%減の112万3千頭とわずかに減少したものの、肉用経産牛は同10.6%増の139万頭とかなりの増加となった。また、1〜8月のと畜頭数を見ると、乳用経産牛は同2.4%増の151万6千頭、肉用経産牛は同17.0%増の193万6千頭となるなど、1 〜6月のと畜頭数と比べて、干ばつの影響から乳牛のと畜頭数の割合が高まっている。

 そのため、赤身肉の供給量は増加傾向にあり、それに伴った価格の下落で安価な輸入牛肉との競合が進んでいる。現在のような悪天候が継続されれば、乳牛のと畜頭数はさらに増加することが予測されている。


● ● ● 2006年の輸入量は2年ぶりに減少の見込み ● ● ●

 USDAによれば、このような国内の需給動向と、主要輸入国からの輸入量の減少が影響し、2006年の輸入量は前年比10.5%減の146万1千トンと2年ぶりの減少が見込まれている。

牛肉国別輸入量の推移

資料:USDA「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」


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