減少に転じた2006年上半期のブロイラー輸出


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生産調整によりひなふ化羽数は前年同期比2.4%減 ● ● ●

 ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、2006年1〜6月のひなふ化羽数は、前年同期比2.4%減の21億9,190万羽となった。これまで輸出の増加要因であった海外における鳥インフルエンザが、EU諸国などにおいて、鶏肉需要の減退を引き起こしたため、輸入国の需要が減少し、在庫が増加した。これを受けて、ブラジル養鶏連盟(UBA)が傘下の生産者に生産調整を呼びかけ、ひなふ化羽数は減少した。これにより、1月当たり4億羽を超えていたひなふ化羽数は2月から4月にかけて、20%近く減産された。

 また、生産量(骨付きベース)は1月には前年同月比15.3%増となる85万7千トンに達していたが、ひなふ化羽数の生産調整により、4月以降前年同月を下回り、1〜6月は前年同期比3.4%増の457万トンとなった。このうち、国内市場には74.1%の338万5千トンが向けられた。

図1 ひなふ化羽数の推移

資料:APINCO


● ● ● 対日輸出量は前年比24.5%増 ● ● ●

 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2006年1〜6月の鶏肉輸出量(骨付きベース)は、前年同期比10.0%減の118万5千トンとなった。これは、鶏肉輸入国の需要の減少が、ブラジルの鶏肉輸出に影響を与えたことによる。輸出額は同7.8%減の13億3,274万ドル(1,533億円:1ドル=115円)であった。平均輸出価格は1トン当たり1,125ドル(12万9千円)と前年同期の同1,099ドル(12万6千円)に比べ2.4%高となっている。

 主要な輸出先を見ると、パーツ主体の日本の輸出量が最大で、前年同期比7.8%減の18万3,650トン、輸出額は同3.3%減の2億9,501万ドル(339億円)、平均輸出価格は同0.5%安の1,606ドル(18万5千円)となり、次いで丸どり主体のサウジアラビアが前年同期比19.8%減の14万2,384トン、輸出額は同14.4%減の1億5,763万ドル(181億円)、平均輸出価格は同6.7%高の1,107ドル(12万7千円)となった。香港、ベネズエラなどへの輸出が倍増する一方、サウジアラビア、ロシアなどの減少が目立った。

 なお、レアル高の影響などにより、輸出価格や国内小売価格が低下傾向にあり、生産者の収益も低下しているとみられる。

図2 国別輸出量の推移

資料:SECEX


● ● ● ニューカッスル病の発生による輸出への影響はなし ● ● ●

 ブラジル鶏肉輸出業者協会(ABEF)では、輸入国の需要の減少を踏まえ、2006年の輸出量は前年比11%減の245万トン、輸出額は同14%減の28億6千万ドル(3,289億円)という見通しを示している。

 なお、7月にはリオグランデドスル州、8月にはアマゾナス州においてニューカッスル病の発生が確認されたが、関係者は主要輸入国である日本やEUの措置が限定的であることから、同疾病による鶏肉輸出への影響は少ないとみている。


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