豊作にもかかわらず米国のトウモロコシ期末在庫は4割もの大幅減


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● 豊作が見込まれる生産量 ● ● ●

 米国農務省(USDA)が8月に公表した実地調査に基づく米国の飼料穀物需給予測によると、2006/07年度のトウモロコシ生産量は、単収が1ヘクタール当たり0.2トン改善されて、同9.6トンと見込まれることから、前月予測を599万トン上回る2億7,880万トンに上方修正された。この生産量は、前年度を1.2%下回るが、前年度の生産量が記録的であった一昨年に次ぐ生産量であるので、三番目の豊作になるとしている。なお、単収の同9.6トンは、一昨年の同10.1トンに次ぐ収量である。

 生産者からの報告を取りまとめた結果によると、2006/07年度作付面積の61%に遺伝子組み換え種子(GM種子)が作付けされているとしており、前年の52%を9ポイント上回る。

 歴代三番目の豊作見通しから、2006/07年度のトウモロコシ価格は、弱含みでの推移が見込まれるが、需要増から前年度水準は上回るとしている。

図1 米国トウモロコシの単位と生産量

資料:USDA/ERS


● ● ● エタノール向け需要は引き続き大幅に増加 ● ● ●

 米国における2006/07年度のトウモロコシ需要量を見ると、飼料向けは、畜肉、鶏卵生産量の増加から、前年度を0.4%上回り、食料向けは、同19.0%上回ると予測されている。飼料向けのうち、99/2000年度まで最大用途先であり、ソフトドリンクなどに使用される異性化糖(HFCS)向けは、前年度を2%上回る程度の伸びであるが、燃料(エタノール)向けは、原油高から前年度を34.4%と大幅に上回ることが見込まれており、さらなるエタノールプラント建設が進んでいる。

 米国における2006/07年度のトウモロコシ輸出量は、アルゼンチン、ブラジルおよび中国からの輸出量の伸びが見込めないため、米国の輸出量が前年度を2.4%上回るとしており、その結果、輸出量を含めた米国全体の需要量は、前年度を5.7%上回るとしている。

図2 米国トウモロコシの需要量内訳

資料:USDA/ERS


● ● ● 需要が生産を上回ることから期末在庫は4割もの大幅減 ● ● ●

 米国における2006/07年度のトウモロコシ期末在庫量は、生産量が396万トン上方修正される一方、需要量が生産量を2,121万トン上回ることから、前年度を40.2%下回る大幅な減少が見込まれている。

 世界のトウモロコシ需給を見ても、2006/07年度は、需要量が生産量を3,416万トン上回ることから在庫が取り崩され、期末在庫は、前年度を26.9%下回る大幅な減少が見込まれている。

図3 トウモロコシの期末在庫量

資料:USDA/ERS

 


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