欧州委、TSE監視結果に関する報告書を公表


EU全体でのBSEに関する検査頭数は約1,011万頭

 欧州委員会は7月20日、2005年にEUの各加盟国において実施された伝達性海綿状脳症(TSE)に関する反すう家畜の監視結果報告書を公表した。

 このうち、BSEに関する検査は、EU加盟25カ国で、約1,011万4千頭を対象に実施された。

 検査対象区分別に見ると、BSE様の症状または疑いがある牛を対象とした受動的監視によるものは、全体の0.02%に相当する約3千頭であった。それ以外の大部分は能動的監視であり、通常にと畜された健康牛では、30カ月齢を超える牛を対象に、同85%に相当する約861万頭が実施された。このうち、一部の加盟国では、その検査対象に違いがあり、スウェーデンは、無作為サンプリングにより抽出した牛のみ、イギリスは30カ月齢超(OTM)牛の処分対策を実施していたことから義務的な検査はなし、イタリア、ドイツ、スペインはEUにおける健康牛の検査対象月齢を自主的に引き下げ24カ月齢以上となっている。なお、イタリアは、2005年中に検査対象月齢を、EUのほかの加盟国と同様の30カ月齢超に引き上げている。 


BSE陽性牛頭数は年々減少

 2005年のBSE陽性牛の頭数は561頭となり、前年の865頭に比べ35%の大幅な減少となっている。2004年においても、前年と比較して37%の減少を示しており、年々着実に減少していることがうかがえる。

 陽性牛は16カ国で確認されており、加盟国別に見るとイギリスが依然として最も多く、226頭となっているものの、前年に比べ34%減少している。これにスペイン103頭、アイルランド69頭、ポルトガル51頭が続いており、それぞれ25%、43%、44%の減少となっている。

 陽性牛の頭数を検査対象区分別に見ると、陽性牛頭数全体の13%に相当する73頭が受動的監視によるもので、同87%に相当する488頭が能動的監視によるものであった。

 2005年におけるBSE陽性牛の月齢を見ると、加盟国によりその分布に幅はあるものの、93%が60カ月齢超の牛であった。陽性となった牛の平均月齢を見ると、通常にと畜された健康牛については、2005年には94.4カ月齢、農場内で死亡した牛や緊急と畜された牛などのBSEのリスクがある牛については、121.5カ月齢となり、通常にと畜された健康牛では、2004年の95.0カ月齢よりやや月齢が低下した。ただし、現在の検査体制となった2001年以降の傾向を見れば、陽性牛の加齢が進んでいる。

 欧州委員会は、BSE陽性牛の減少およびその月齢が上昇していることについては、これまで実施してきたBSE対策の効果であったことを示していると説明している。

加盟国別BSE陽性牛頭数の推移


約61万頭のヒツジとヤギで監視を実施

 また、本報告書では、ヒツジおよびヤギにおける監視結果も公表している。ヒツジについては、約35万頭、ヤギについては約26万頭において検査が行われ、そのうちTSE陽性頭数はそれぞれ806頭、153頭であった。ヒツジについては、2004年と同様の検査対象頭数であったが、ヤギについては、2005年の初めにBSEが確認されたことを受け、検査対象頭数を拡大して実施したが、新たなBSEの事例は確認されなかった。


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