熱波・干ばつにより飼料などの生産が減収になると予測(EU)


 欧州委員会は8月11日、本年5月から7月にかけて欧州を襲った熱波・干ばつの影響を考慮した最新の作物の収穫予想を公表した。

 これによれば、飼料を含む多くの作物が前年と比べ減収となることが予測されている。なお、2万7千人余りの死者を出した2003年の猛暑の際の被害に比べ、その被害範囲は広いものの、被害の度合いは全体的に見れば軽いと予測している。


7月にピークを迎えた高温・少雨傾向 

 本年5月より始まった、欧州における高温・少雨の傾向は、7月に入り特に厳しいものとなった。本年5月から7月までの3カ月間において日中最高気温が30度を超えた日数は、ドイツ、オランダ、ポーランドで、過去32年間で最も多い年となり、スペイン、フランス、イタリア、リトアニア、エストニアでも過去2番目に多い年となった。これらの国を中心に、この間の降雨量も少なく、その結果、欧州の広範な範囲で熱波や干ばつの影響が現れることとなった。


穀物生産などへの多大な影響を懸念 

 穀物を含む主要な作物のうち、軟質小麦については前年比4.0%減、冬大麦は同2.0%減、トウモロコシが同5.1%減、ジャガイモが同4.3%減といずれも減少すると予測されており、この結果、作物全体では同3.6%減になると予測されている。国別に見ると、ドイツの小麦・大麦・ジャガイモ・テンサイ、ポーランドの大麦・軟質小麦・ジャガイモ、イギリスの小麦・ジャガイモ・大麦・油糧種子作物、フランスの軟質小麦・冬大麦・油糧種子作物・テンサイ、イタリアの軟質小麦・トウモロコシ・ヒマワリ・テンサイなどで大きな影響が出ているとしている。


飼料生産への影響も顕著に

 飼料生産については、7月に入って、5月以降続いている少雨の深刻度が増大した結果、青刈作物や永年牧草の生育に影響を与えることとなった。この傾向は、特にフランス、バルト諸国、スペインで顕著となっている。また、ドイツ北部やドナウ川流域でも被害が見られるものの、6月中旬から7月にかけての降雨により、その被害がやや軽減されているとしている。


飼料用に休耕地の利用を特別に許可

 このような状況の中、欧州委員会は、干ばつの影響で家畜の飼養に深刻な影響が出ている加盟国に対し、直接支払いの受給の条件として設定している休耕地を飼料用に利用することを特別に許可した。これは、通常であれば、休耕地は8月31日以降にしか農地として利用ができないこととなっているが、干ばつによる飼料確保の困難性に鑑み、7月27日の直接支払いに関する特別管理委員会での承認以降、これまで14カ国に対し許可している。なお、これらの加盟国において、どの時点から休耕地の飼料利用が認められるか9月13日の時点では不明であるが、例えば、8月10日に承認されたアイルランドの場合、農業食料省のプレスリリースによれば、7月15日より利用可能となっていることから、実際の承認時期よりさかのぼって認められている模様である。この利用は、あくまで自らが飼養する家畜の飼料用に利用する場合だけが認められており、そこで生産された飼料を販売するなどの行為は禁止されている。


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