アルゼンチン、畜産振興計画を公表


2010年までに牛肉供給増などを目指す

 キルチネル大統領は7月24日、大統領官邸においてミチェリ経済相、カンポス農牧水産食糧庁(SAGPyA)長官らの同席の下、アルゼンチンにおける畜産の安定的成長の基盤を構築することを目的とした「畜産および牛肉産業振興のための国家計画(以下「畜産振興計画」とする)」を発表した。

 同計画は、(1)牛肉供給量の増加、(2)取引、情報および市場システムの透明性の改善、(3)一般経済および畜産、牛肉チェーンの枠組みの中での国内、輸出に向けた十分な需要の確保−の3つの骨子から成り、これらに基づき、短期、中期、長期的な対策が設けられ、年間2億1,400万ペソ(81億3,200万円:1ペソ=38円)、2010年までの4年間で合計8億5,700万ペソ(325億6,600万円)が資金として投入される。

 このうち、(1)については、2010年までに牛肉供給量を増やすために達成すべき具体的な目標を以下のとおり挙げている。

 ・出荷率(と畜頭数に生体輸出頭数を加えた数字を期首飼養頭数で割った率)を24.7%から27.0%へ向上

 ・140万頭の子牛の離乳率の向上

 ・牛肉年間生産量を306万トンから361万トンへ増加

 ・年間と畜頭数を1,425万頭から1,570万頭へ増加

 ・全国の飼養頭数を6,200万頭へ増頭

 このため、総融資額の約8割に当たる1億7,600万ペソ(66億8,800万円)、4年間の総計で7億500万ペソ(267億9千万円)が、飼養頭数規模別に4階層に分けられた生産者に直接融資され、衛生・繁殖管理の向上、飼料供給の改善、家畜改良などの対策に向けられるとしている。


すでに公布された規定も包含

 そのほかの対策としては主に次のようなものがあるが、これまでに決議で規定された制度もこの畜産振興計画に含まれている。

 ・農場登録制度の更新:現在の生産者登録制度(RENSPA)の改正

 ・国内家畜の個体識別:SAGPyA決議第103/2006号において、2007年1月1日より2006年中に出生した子牛については、あらゆる移動の前に個体識別を行うことが義務付けられており、農畜産品衛生事業団(SENASA)がこれに係る手続きの調整を行う。

 ・衛生管理システムの更新:SENASA地方支所間のデータ伝達を改善するためのソフトウェアの開発

 ・ONCCA決議第1154/2006号に基づく牛肉価格システムの創設:リニエルス市場では、と畜向けに取引される牛の15%しか扱われていないため、公表される価格は十分な指標とはならないとし、カテゴリーや取引方法別に参考となる価格を日々公表することが可能なシステムを再構築する。

 また、伝統的な半丸枝肉に替わり、四分体による牛肉カットを行うために施設を整備すると畜処理工場を対象にした融資も含まれている。


農業団体は4日間の農畜産ストを実施

 なお、この畜産振興計画は、アルゼンチン農牧連盟(CRA)が主導する農畜産ストのただ中に公表された。全国約10万人の生産者を代表する同団体は、牛肉輸出禁止など政府の一連の措置により収益が大幅に減少したことに対する抗議行動として、家畜、穀物、生産資材の売買を7月22日から25日まで停止し、同期間中には各地で生産者集会が召集された。


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