タイで鳥インフルエンザが再発


8カ月ぶりにAI再発

 タイ農業・協同組合省は7月24日、タイ北部ピチット県で鳥インフルエンザ(AI)の再発を確認したと発表した。同県のバンムンナク地域から家畜振興局の研究所に送付された家きんのサンプルから、H5N1型ウィルスが検出されたとしている。AIの発生は、昨年11月9日に確認されたのが最後となっており、今回の再発確認は約8カ月ぶりとなる。

 また、同国保健省は7月26日、同県で24日に死亡した17歳の男性がAIに感染していたことを発表した。男性は、同月10日に死んだ家きんを土中に廃棄する作業を行っており、その際にAIに感染したと考えられている。同月15日から高熱や出血などの症状が現れたため病院に入院していたが、当初はウィルス検査で陰性と診断されていた。現地調査の結果、死亡した男性の関係者に呼吸器疾患の兆候を示す者はいなかったとしている。

 同国における人への感染事例は、世界保健機関(WHO)によれば昨年12月上旬の死亡事例が最終となっていたが、今回の事例および8月上旬に同国北部ウタイタニ県で死亡した27歳の男性もAIに感染していたことが確認されたため、8月23日現在における死亡者数は2004年以降の累計で16人、感染者数は同24人(死亡者を含む)となった。


当局はAI隠ぺいを否定

 タイ国内では、7月中旬より数百羽単位の家きんの病死が報告されており、AIの再発が疑われていたが、同国政府はサンプルからAIウィルスが検出されていないとしてこれを否定していた。また、AIの再発を隠ぺいしていたという批判についても、様々な国際機関の監視プログラムがある中では不可能であり、AIウィルスが検出された後は速やかに公表したことを強調している。

 同国政府は、7月14日に家きんの大量死が報告された北部4県、東北部および中央平原部3県の計7県をAI監視強化地区としていたが、今回、AI発生が確認されたピチット県はその中に含まれていた。同国政府は、今回のAI再発により、発生現場から半径1キロメートル以内の防疫措置を実施するとともに同10キロメートル以内の家きんを移動禁止とした。また、同国では80万人のボランティアを動員し、AIの啓発キャンペーンを8月下旬に実施している。

 同国政府は、2004年1月にAI発生が確認された際、実際には2003年11月中旬から家きんの大量死が発生していたものの、当初はその理由を季節の変わり目に発生した鳥コレラによるものと説明していた。日本政府によるタイ産家きんなどの一時輸入停止が発表された後、同国公衆衛生省によりAIの人への感染および家きんの処分羽数などが公表され、同国政府も正式にAIの発生を認めた経緯がある。

 今回のAI再発に当たり、国連食糧農業機関(FAO)は同国政府に対し詳細な調査を要求している。


AI感染はさらに拡大

 さらに7月30日、同国東北部、ラオス国境に位置するナコンパノム県でもAI発生が確認されたため、県内の養鶏施設78カ所の家きん約30万羽が殺処分された。これで今年7月以降、同国内でAI発生が確認されたのは、北部のピチット県に続き2件目となった。同国農業・協同組合省関係者は、ナコンパノム県におけるAI発生に関して、ラオスからAIウィルスが侵入した可能性について示唆している。

 同国農業・協同組合省など関係部局は、同県において車両を消毒するチェックポイントを設けるほか、タイとラオス国境における家きんの移動を禁止した。また、保健省は、同県内で家きんの殺処分などに携わった者について、AIへの感染の有無の確認を行うとともに、同国北部、東北部を中心にAIへの感染が疑われている約80名を隔離した上で、精密検査を実施している。


ラオスでもAI発生確認

 ラオス政府は7月28日、AIの発生が確認されたことを発表した。首都ビエンチャン近郊の農場で約2千5百羽の鶏が死亡したため、感染防止のため同農場のすべての家きんを殺処分するとともに、農場の消毒を実施した。また、半径5キロメートル以内を監視地域とし家きんの移動制限を実施したとしている。


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