米国農務省(USDA)および米国内務省(DOI)は8月14日、省庁横断で行っている拡大モニタリング検査の結果、ミシガン州南東部で捕獲された野生のコブハクチョウで低病原性の鳥インフルエンザウイルスの感染を確認したことを公表した。両省は、このH5N1型インフルエンザは少なくとも高病原性のアジア型ではなく、過去に北米で発生した低病原性のものに類似しており、ヒトの健康にはまったく影響がないことを強調している。
2羽のコブハクチョウがH5N1型の鳥インフルエンザに陽性反応
米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)のロン・デヘイブン局長によれば、陽性となった2羽のコブハクチョウは、ミシガン州南東部の州立モイリー野鳥保護区で捕獲された20羽の群の一部である。このサンプルは8月8日に採材され、同月9日にミシガン州立大学の研究室で行われた検査で陽性となった後、週末にかけてアイオワ州エームスの国立獣医療試験場で行われた一次確認試験でもH5N1型の鳥インフルエンザに陽性反応を示した。
低病原性の北米型の可能性が高く、ヒトの健康には影響せず
陽性となったコブハクチョウは、高病原性のアジア型に感染した個体とは異なり、臨床症状は見られなかった。また、これらのコブハクチョウだけでなく、野鳥保護区の他の水鳥についても、検査の際には臨床症状を呈していなかった。APHISのデヘイブン局長および米国保健社会福祉省(HHS)のビル・ラウム顧問は、今回の事例が世界各地で広がっている高病原性の鳥インフルエンザとは異なりヒトの健康に危害を及ぼすとは考えられないとして、公衆衛生当局や医療当局が何らかの特別な対応を行う根拠とはなり得ないことを強調した。
病原性の最終確認にはさらに2週間が必要
現在、国立獣医療試験場で初生びなに対する接種試験が行われているが、この結果が判明し、遺伝子解析の結果と併せて病原性の最終確認がなされるまでには、さらに2週間を要する見込みである。
北米型の低病原性のH5N1型鳥インフルエンザは、1975年および1986年に米国で、また、昨年はカナダのマニトバ州で確認されている。
米国はすでに野鳥のモニタリング調査を強化中
米国では、高病原性鳥インフルエンザが世界的に大きな問題となっていることを受け、6月以降、アラスカ州を中心に連邦政府(USDAおよびDOI)、州政府および大学によるモニタリング調査を行っており、すでに約8,000羽(うち、アラスカの渡り鳥が約4,000羽)が検査されている。今回の事例は、この調査の一環で確認されたものである。
なお、今回の発生確認に先立つ8月9日には、ジョハンズ農務長官が記者発表を行い、調査の対象をハワイやグアムなど南太平洋の渡り鳥飛来地にまで拡大し、DOIや州政府などと協同して7万5千から1万羽程度の野鳥のサンプルを採取する大規模なモニタリング調査に乗り出すことを公表したところであった。
|