米国食肉業界、収益性の拡大に向けた取り組みが進展


 世界最大の穀物会社であり食肉大手でもあるカーギル社と、米国の食肉最大手であるタイソンフーズ社は、8月17日、7月31日にそれぞれ、2006年度における直近の四半期の業績を公表した。今回公表された両社の業績は、対照的な結果となっており、収益性の拡大に向けた今後の取り組みもこれを反映したものとなっている。


カーギル社、世界規模の戦略が進展し事業規模を拡大

 カーギル社は8月17日、2006会計年度(2005年6月〜2006年5月)第4四半期(3〜5月期)および通年の業績を公表した。

 これによると、第4四半期の純利益は、前年同期比55.7%増の3億5,800万ドル(422億円:1ドル=118円)となった。また、通年では、総収入が前年度比6.0%増の752億ドル(8兆8,736億円)となり、純利益は同13%増の17億3千万ドル(2,041億円)と5年連続で前年を上回り、過去最高益を記録した。

 同社では、今年度における収益の増加について、金融投資部門が大きく貢献したことに加え、資産管理、財務管理およびエネルギー部門の好調を挙げ、さらに、世界的な食物油、甘味料、食肉および家きん部門の拡大も貢献したとしている。

  特に、第4四半期では、金融投資部門の増益により、前年同期を大きく上回った。

 スタレー会長は、「今回の結果は、わが社の世界戦略の効果を示している。わが社は、多種多様な製品を世界中に販売しており、経済が大きく成長している市場から利益を得ることが可能である」と述べている。

 同社は、2006年度においては、米国およびカナダにおける牛肉加工施設を買収するなど積極的な投資を行い、さらに、引き続きバイオ燃料の供給原料への投資および米国や欧州での生産を推進するとしている。


タイソンフーズ社、減益を背景に20億ドル規模のコスト削減を実践

 一方、タイソンフーズ社は7月31日、同社の2006会計年度(2005年10月〜2006年9月)第3四半期(4〜6月期)の業績を公表した。

 これによると、同期の売上高は、総売上高の約8割を占める鶏肉および牛肉の売上高の減少により、前年同期比4.8%減の63億8,000万ドル(7,528億円)となった。また、第3四半期の最終損益は、鶏肉および牛肉部門の損失により5,200万ドル(61億円)の損失となった。

 これを部門別に見ると、鶏肉部門については、販売量は前年同期比7.0%増と増加したものの、卸売価格の低下などにより、売上高は同7.8%減となり、5,900万ドル(70億円)の損失となった。減益となった要因としては、売上高の低下に加え、もも肉の低価格での先物売りの影響、エネルギーや飼料穀物のコスト高、また、メキシコ工場における収益減などが挙げられている。

 また、牛肉については、販売量が同6.3%増加したことにより、売上高は同0.9%増となったが、鶏肉同様のコスト増により1,000万ドル(12億円)の損失となった。

 同社のボンド会長は、「われわれは、早期に収益回復を促すため、積極的な対策を実施している。これまでに、わが社の鶏肉在庫量は、歴史的な高水準から相当量減少した。また、われわれは、わが社全体を通じて費用対効果を確実にするため、社内の構造および製造工程を見直している。われわれは、約20億ドル(2,360億円)のコスト削減に向け、広範囲な管理対策を実践したところである」と述べた。


タイソンフーズ社、牛肉処理施設を統合

 タイソンフーズ社は8月17日、同社の牛肉部門を効率的に運営するため、太平洋北西部にある牛肉処理加工施設の統合を公表した。

 具体的には、本年10月16日より、同社の子会社であるタイソンフレッシュミート社が所有する、アイダホ州ボイジーにある旧IBPのと畜施設を閉鎖し、ワシントン州パスコーにあると畜加工施設にと畜部門を統合するとともに、牛肉加工シフトを2シフトから1シフトに変更することにより、同工場の稼働率の向上を図るものである。

 同社は、牛肉・豚肉部門の生産性および収益性の向上を目的とした戦略の一環として、今年初めにはネブラスカ州北東部にある牛肉施設を統合した。また、他の工場においても、生産ラインおよび操業効率の改善を実施するなど、同部門における合理化を進めている。


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