2013年までの生乳生産量、横ばいで推移する見込み


◇絵でみる需給動向◇


 欧州委員会は7月28日、2006〜2013年の欧州連合(EU)における主要農産物の需給に関する中期予測を公表した。これは、2006年6月までに公表されたデータを基にしたものであり、生乳に係る内容は以下のとおり。

● ● ● 2013年の生乳生産量は1億4,440万トンとわずかな増加 ● ● ●

 EUにおける生乳生産は、生乳生産割当(クオータ)制度の下で、国ごとに定められた生産割当枠の範囲内で行われており、2013年の生乳生産量は、2006年と比較して1.2%増の1億4,440万トンと、わずかな増加にとどまると予測されている。

 2013年における生産予測を地域別にみると、従来からの加盟国であるEU15カ国においては2006年と比較して1.2%増の1億2,250万トン、2004年5月に欧州に参入した新規加盟国(NMS)は同0.9%増の2千2百万トンと増加率はEU15カ国がわずかながら大きい見込みである。なお、2013年の生乳生産量全体に占めるNMSの割合は15.2%となり、この割合は今回の予測期間中ほぼ変わっていない。なお、クオータ制度は、2003年6月に合意された共通農業政策(CAP)改革により、2014/15年度まで継続されることが決定している。

● ● ● かなり大きく減少すると見込まれる乳用経産牛 ● ● ●

 生乳生産の基礎となる乳用経産牛の飼養頭数は、一頭当たりの泌乳量の増加や飼養技術の向上などにより一貫して減少し、EU25カ国全体で見ると、2013年は2006年と比べて7.0%減の2,120万頭とかなりの程度減少すると予測されている。EUの生乳生産は前段で述べたとおり、クオータ制度の下で計画的に行われていることから、一頭当たりの泌乳量の増加は、EUの乳用経産牛の飼養頭数が次第に減少に向かうことを意味している。

 なお、2013年の飼養頭数予測を地域別に見ると、EU15カ国は2006年と比べて7.5%減の1,730万頭、NMSは同11.4%減の390万頭と予測され、減少幅はNMSの方が大きい。

● ● ● 経産牛の泌乳量はかなりの程度増加の見込み● ● ●

 前段で述べたとおり、乳用経産牛一頭当たりの泌乳量は増加傾向で推移し、2013年は2006年と比較して8.8%増の6,803キログラムとかなりの程度増加すると見込まれている。これを地域別に見ると、EU15カ国が同7.5%増の7,073キログラム、NMSが同14.5%増とかなり大きく増加して5,607キログラムになるとされる。現在のNMSの一頭当たりの泌乳量はEU15カ国より2割少ないものの、逆に伸び率はほぼ2倍となっており、NMSにおける改良技術の向上などにより、両者の差は次第に小さくなるものと思われる。

EU25カ国の生乳需給の推移(2004〜2013)


資料:欧州委員会「Prospects for agricultural markets in the EU」


元のページに戻る