世界的な乳製品需要の高まりで輸出価格は上昇、酪農生産も拡大意欲


◇絵でみる需給動向◇


NZの乳製品輸出価格、高水準を維持

 ニュージーランド(NZ)統計局の資料によると、世界的な乳製品需要の高まりを背景にNZの乳製品輸出価格は、2004年以降、高水準での推移を続けている。2007年8月期を見ると、乳製品の平均輸出価格はトン当たり4,169NZドル(375,210円:1NZドル=90円)に達しており、1月期と比べて1千NZドル(9万円)近い上昇幅となっている。乳製品の国際価格は、世界的な原油価格の上昇を背景に中東、ロシアなど原油産出国での乳製品需要の増加、また、経済発展が著しい中国などでの消費拡大により需要が急速に高まる一方で、供給が追いつかない状況から2004年以降、右肩上がりを続けている。

 国際市場への主要乳製品供給国であるEUにおける乳製品輸出補助金の削減、また、豪州での干ばつによる生乳生産の低下がその最大の要因であるが、NZの酪農生産は、ここ数年、天候に恵まれていることなどから増加基調にあり、主要輸出国の中で唯一、乳製品の輸出を増やしている。

乳製品の平均輸出価格の推移


チーズの輸出価格、2008年以降大幅な上昇も

 2007年8月期の品目別乳製品輸出価格について、2004年1月期と比較すると、脱脂粉乳が86.1%高、全粉乳が60.8%高、チーズが38.2%高、バターが22.2%高と、いずれも大きく上昇している。この中で、チーズの価格動向に着目すると、2004年以降、おおむね右肩上がりでの上昇を続けてきたが、2006年に入り主要通貨に対してNZドル高で推移する為替相場の影響などにより低下傾向となった。しかし、EUや豪州からの供給量が伸び悩んでいることに加え、ファストフードなどを中心に世界市場でのチーズ需要が依然として高いことから、再び上昇基調に入っている。乳業関係者の間では、2008年1月以降のチーズ輸出価格についても、ひっ迫する需給を背景に大幅に上昇とみており、2004年1月期と比べて最大8割近い引き上げも見込まれている。

チーズ輸出価格の推移(2004年1月=100)


輸出価格上昇による乳価引き上げを要因に、酪農生産は拡大意欲

 このような中、生乳生産の大部分を乳製品として海外に輸出するNZでは、乳製品輸出価格の上昇が酪農生産者の乳価の上昇に結びつくことになる。2007/08年度(6〜5月)の生産者乳価は、NZ生乳生産量の9割以上を取り扱うとされる最大の酪農協フォンテラが、8月に乳固形分キログラム当たり6.40NZドル(576円)に引き上げるなど、過去最高水準となっている。また、ほかの乳業各社もこれに追随しており、酪農家一戸当たりの年間平均生乳販売額は、およそ68万9千NZドル(6,201万円)に達するとみられている。2007/08年度の生乳生産は、春先の少雨で牧草の生育が遅れたことでその影響が心配されたが、その後の気象状況の回復で順調な推移をみせている。酪農生産者の多くは、高い乳価を背景に生乳生産の拡大に意欲を見せており、この先の気象状況に変化がない限り、過去最高水準の生乳生産量も期待されている。


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