2006/07年度生乳供給量、7カ国が超過(EU)


課徴金総額、約2億2,100万ユーロ

 欧州委員会は10月18日、2006/07年度(2006年4月〜2007年3月)のEU25カ国(以下、「EU25」とする。)の生乳供給量の速報値を公表した。これによると、生乳生産割当枠(クオータ)に対する生乳供給量は、7カ国で77万4,148トン超過し、これに伴う課徴金は2億2,094.2万ユーロ(368億9,731万円:1ユーロ=167円)となる。

 EUでは、生乳市場の需給バランスを保つことを目的としてクオータ制度を導入している。クオータには生産者が乳業者へ出荷する「出荷クオータ」と、生産者が消費者向けに直接販売する「直接クオータ」があり、加盟国はそれぞれ定められたクオータを超過した場合、ペナルティーとして課徴金が課されることとなっている。なお、2006/07年度の課徴金単価は、1トン超過につき285.4ユーロ(約4万8千円)となっている。


出荷クオータ、超過量の8割がイタリア

 出荷クオータを見ると、EU25のクオータ割当を受けた生産者は約80万8千人、クオータに対する生乳供給量は約1億3,685万トンとなり、クオータ合計を約191万9千トン下回る結果となっている。ただし、国別には7カ国(オーストリア、キプロス、デンマーク、イタリア、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ)でそれぞれクオータを超過しており、その合計は約77万4千トンとなっている。

 最も超過量が多い国はクオータ超過の常連となっているイタリアで、超過分の8割を占める約61万8千トンの超過となり、また、同国のクオータに対し前年度とほぼ同率の6.0%の超過となっている。続いてオーストリアが3.3%超、残りの5カ国についてはそれぞれ1%未満の超過となっている。

 これ以外の18カ国の使用状況を見ると、9カ国(ギリシャ、スウェーデン、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、マルタ、ハンガリー)で未使用率が5%以上となっている。また、未使用クオータ約270万トンのうち、その4割を占めるフランス(約64万トン)、英国(約48万トン)は、それぞれ前年度の1.9倍、1.7倍と未使用分が拡大している。


直接クオータは2カ国が超過

 直接クオータを見ると、EU25のクオータ割当を受けた生産者は約7万8千人で、クオータに対する生乳供給量は約170万トンとなり、クオータ合計を約34万8千トン下回る結果となっている。ただし、国別では2カ国(キプロス、オランダ)でそれぞれクオータを超過しており、その合計は420トンとなっている。

国別超過量


生乳クオータ制度は過去の遺物

 この公表に当たり、フィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は現在の生乳クオータ制度について、「過去においては、生乳の需給バランスを維持するため、重要な役割を果たしてきたが、現在、生産者は市場にあった生産をするべきで、この制度は過去の遺物である」とし、改めて、「クオータ制度が2015年に廃止されること、委員会では既に移行措置について検討しており、これはCAPの中間検証作業である「ヘルスチェック」の重要な課題の一つである」とコメントしている。

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