2006年の豪州食肉処理業者、トップ25を発表


2006年の生産は、干ばつにより増加、輸出の伸びも追い風

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこのほど、2006年の食肉(牛肉および羊肉)処理業者上位25社を発表した。これによると、上位26社(同率で2社が25位)の年間総出荷量は、前回より9.3%増の224万トンに達し、豪州の食肉生産量全体の78%を占めている。上位25社の順位は、企業ごとの牛肉および羊肉の年間出荷量を基準に算出しており、今回の公表は、2004年以来の2年ぶりとなる。

 2006年の状況を見ると、前半は、順調な天候が続いたことで肉牛出荷が抑制され、生産は減少傾向となったものの、後半に入り、干ばつの発生で状況が一変し、出荷が拡大したことで最終的な牛肉生産、羊肉生産は過去最高水準に達した。また、輸出市場も豪州産への需要が高かったことから、2006年の牛肉輸出量(子牛を含む)は95万4千トン、羊肉輸出量(マトンを含む)も31万トン(いずれも船積重量ベース)と過去最高記録に達している。


上位5社の食肉処理量は拡大し、全体の53%に

 上位5位の構成を見ると、オーストラリア・ミート・ホールディングス(AMH)社が、前回に引き続き1位を維持した。米国資本(同社は2007年5月、ブラジルのJBSフリボイグループが買収)の同社は、豪州国内に4工場と4,800人余りの従業員を抱え、その食肉出荷量は豪州全体の15%を占める。また、売上高も26億豪ドル(2,782億円:1豪ドル=107円)に達するなど2位以下を大きく引き離した。2位のティーズ・ブラザーズ社(豪州資本)、3位のニッポン・ミート・パッカーズ社(日系資本)は順位が変わらず。4位にはタスマン・グループ・サービス社(豪州資本)が、工場の買収などにより処理能力を拡大して入り、前回の7位(会社名未公表のため推定)から順位を上げた。5位には、順位を一つ落としてカーギル・ビーフ・オーストラリア社(米国資本)となった。これら上位5社の食肉出荷量は26社全体の52.9%を占め、前回(2004年)よりも2.1ポイント上昇している。

2006年の食肉処理業者上位5位


寡占化が続く食肉処理業界、今後、業界勢力図に大きな変化も

 豪州の食肉処理業者は、2001年の日本でのBSE発生による輸出需要の減退、また、2002/03年度、2006/07年度と短期間に2度も続いた干ばつの被害などを背景に、工場の合併、閉鎖などによる集約化が進んでいる。豪州全体の食肉出荷量に占める上位25社の割合を見ると、2006年は、全体の4分の3以上となる77%にまで達しており、年々、寡占化傾向が強まっている。

 一方で、原料、飼料穀物、豪ドルのいずれもが高止まりを続ける中で、食肉の輸出環境はかつてないほど悪化している。このため、生産の多くを輸出に仕向ける大手食肉処理業者の中には、工場や企業自体の売却、また、施設閉鎖に向けた動きなどが水面下で進んでいる。今後の状況によっては、食肉業界の勢力図に大きな変化が起きそうだ。


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