● ● ● 飼養頭数は5期ぶりに前年同期比割れ ● ● ●豪州フィードロット協会(ALFA)は5月16日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共同調査による四半期ごとの全国のフィードロット飼養頭数調査結果を公表した。これによると、2007年1〜3月期の総飼養頭数は前年同期比2.5%減の87万3千頭と減少に転じた。これは、前回調査(2006年12月)比でも3.9%の減少となっている。フィードロット飼養頭数は、これまで堅調な豪州産牛肉需要を背景に増加傾向で推移してきたが、5期ぶりに前年同期を割り込んだことになる。
● ● ● 主要生産州のQLD、前年同期比7.4%減 ● ● ●今回の調査結果を州別に見ると、飼養頭数が国内最大のクイーンズランド(QLD)州が前年同期比7.4%減の42万4千頭とかなりの程度減少したほか、ビクトリア(VIC)州は同4.8%減の6万4千頭とやや減少した。一方、ニューサウスウェールズ(NSW)州は同4.3%増の29万7千頭、西オーストラリア(WA)州が同0.3%増の6万9千頭とそれぞれ増加している。ALFAは、NSW州や南オーストラリア州(SA)などでは、2006年中盤から顕在化した干ばつの被害が大きかったことから、肉牛生産者が国内向けを中心にフィードロットへの出荷を急いだことから飼養頭数が増加したとしている。 ● ● ● 中・小規模フィードロットを中心に厳しい経営環境が続く ● ● ●ALFAでは、フィードロット飼養頭数減少の要因として以下を挙げている。(1)主要輸出先のアジア各国の通貨に対し、豪ドル高で推移する為替相場による輸出条件の悪化、(2)干ばつの長期化による飼料穀物価格の上昇、(3)日本や韓国市場での米国産牛肉との競争の激化。また、飼養規模別に見ると、1万頭を超える大規模フィードロットの飼養頭数が前年比3.6%増の50万3千頭である一方、1万頭未満のものが同9.8%減の37万頭と逆に減少していることから、中・小規模フィードロットほど厳しい経営状況が続いているものと思われる。 なお、干ばつの被害が大きいNSW州およびVIC州など東部の穀倉地域では、5月初旬に引き続き中旬以降にもまとまった降雨が確認された。これを受け、ALFAは今後の穀物生産は良好な状況に転じると見ており、フィードロットの経営改善にもつながると予測している。しかし、その一方で、飼養環境が改善されることから、家畜市場への肉牛出荷が減少するため肉牛価格の上昇が懸念されている。 |
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