上昇傾向を強めるバターの域内価格


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 減少傾向を強めるバター生産量 ● ● ●

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、EU25カ国のバター生産量は、2006年1月以降は前年同月を一貫して下回っており、2007年1〜2月は前年同期比3.8%減の30万5千トンとやや減少した。これは、前年同期の生産量(31万7千トン)の減少率(1.3%)と比較すると倍以上の乖離(かいり)となっている。

 一方、付加価値の高いチーズの近年の生産量は前年を上回り続けており、2007年1〜2月の生産量は前年同期比4.0%増の128万4千トンと、バターの生産動向と対照的な様相を示している。

EU25カ国のチーズ生産量の推移
資料:ZMP


● ● ● 2007年3月以降、バター域内価格は前年を上回る ● ● ● 

 ZMPが公表するバターの域内価格(オランダ産ブランドバター)は、地域需要の低迷などから近年は前年同月を一貫して下回り続けたが、最近の域内外のひっ迫感を受け、急激な上昇を始めた。バター域内価格は、2004年5月以降前年同月を下回ったが、2007年3月以降は3カ月連続で前年同月を上回っている。特に、5月は前年同月比14.9%高の100キログラム当たり290ユーロ(4万8千円:1ユーロ=165円)と、2年前の価格(同285ユーロ)も上回った。なお、2007年1〜5月の平均域内価格は、前年同期比4.8%高の100キログラム当たり268.2ユーロ(4万4千円)となっている。

 また、脱脂粉乳の域内価格も、近年は2006年6〜7月を除き前年同月を上回っているが、最近の強い需要を受け2007年3月以降はさらに大幅に上回っており、5月は前年同月比70.7%高の100キログラム当たり329ユーロ(約5万4千円)と大幅な上昇となった。なお、チェダーチーズの域内価格は、2006年7月以降10カ月連続で同198ユーロ(3万3千円)と近年における最低水準が続いている。

バターの域内価格の推移
資料:ZMP


● ● ● バターをはじめ、乳製品の輸出補助金を全廃 ● ● ●

 バターの輸出補助金は、2006年4月から7カ月連続で100キログラム当たり99.5ユーロ(1万6千円)を維持したが、国際価格の大幅な上昇に伴い、その後は段階的な削減が続いた。さらに、欧州委員会は6月14日、バターの輸出補助金をそれまでの同50ユーロ(8,250円)から一気にゼロとした。同日付けでチーズの輸出補助金も全種類でゼロとされ、EUの乳製品の輸出補助金は一時的に全廃されたこととなる。

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