前年を大幅に上回る2007年1-4月の牛肉輸出ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2007年1月から4月の冷凍・冷蔵牛肉の輸出量は前年同期を大幅に上回る41万1,923トン(部分肉ベース、前年同期比128.1%)、輸出額も8億8,416万米ドル(1,070億円:1ドル=121円、同119.0%)となっている。輸出量の上位国を見るとロシア、エジプト、イラン、イタリア、アルジェリアの順となっているが、EU加盟国を合算するとエジプトを越し第2位となる。また加工牛肉の輸出量も、前年同期を大幅に上回る7万2,402トン(同116.0%)、輸出額は2億4,395万米ドル(295億円、同118.1%)となっている。輸出量の上位国を見ると英国、米国、オランダ、イタリア、ドイツの順となっており、EUはブラジル産牛肉の重要な輸出先であることがうかがえる。 ブラジル牛肉輸出業協会(ABIEC)のプラチニ会長は、「一昨年10月の口蹄疫発生により、EUはブラジル南の3州(パラナ州、マットグロッソドスル州、サンパウロ州)からの冷凍・冷蔵牛肉の輸入を禁止している。しかしながら、中西部(ゴイアス州、マットグロッソ州)からEU向けに輸出することにより補うことができた」と述べている。 EUは新たに口蹄疫が発生した場合輸入停止を通告このようにブラジル産牛肉輸出は好調であるが、EUは今年3月に調査団を派遣し、ブラジルの牛個体識別制度(SISBOV)に関する調査を行い、 (1) SISBOVの運営に問題があること(具体的には、登録機関の監視の必要性、EUが輸入を禁止している地域から家畜を移動して処理するう回輸出の疑念) (2) 2007年中に上記を改善すること (3) SISBOVの運営の問題が改善されない間に新たに口蹄疫発生が確認された場合、ブラジル産冷凍・冷蔵牛肉の輸入を停止すること についてブラジル政府に通告したと伝えられている。この通告に関してブラジル農務省(MAPA)はプレスリリースを行っていないが、MAPAは、 (1) SISBOVのシステムに適合した49登録機関をMAPAのホームページで公表 (2) SISBOVに適合しない耳標を装着していたパラナ州の肥育経営に対し、初めて罰則措置(180日間の移動、と畜の禁止)を適用したことを5月7日に公表 (3) 家畜伝染病発生に伴う殺処分にかかる費用について、連邦政府と州政府の負担割合を変更する法律案の検討(畜産経営の大規模化により、殺処分にかかる州政府の費用負担が増加していることが家畜伝染病発生の公表の遅れにもつながっているとみられていることから、連邦政府が全額費用負担できるとする法改正) などEUの通告を意識したと思われる取り組みを行っている。しかしながらブラジルの畜産関係者からは、まず防疫対策が重要という声も挙がっている。 |
元のページに戻る