6期連続の黒字予算、個人所得税の引き下げ、干ばつなど環境関連対策などに重点豪州連邦政府は5月8日、2007/08年度(7〜6月)の連邦予算案を発表した。同年度の実質国内総生産(GDP)伸び率を3.75%、インフレ率を2.5%との予測の下、歳入は前年度比4.8%増の2,468億豪ドル(24兆9,268億円:1豪ドル=101円)、歳出は同6.3%増の2,356億豪ドル(23兆7,956億円)と6期連続の黒字予算案となった。 今回の予算案では、好調が続く国内経済を反映して法人税などの税収増が見込まれる中、4年間で総額315億豪ドル(3兆1,815億円)からなる個人所得税の減税を打ち出すなど、今年後半に予定されている総選挙をにらんだ対応となっている。また、干ばつにより不足する水資源の確保として総額100億豪ドル(1兆百億円)を超える新たな資金投入が予定されている。 将来的な農畜産行の成長を目的とした予算案農漁林業省関連の予算規模は、全体で約24億豪ドル(2,424億円)と、前年度に比べ約2億豪ドル(202億円)増加した。予算構成をみると、地方農業対策や技術革新、検疫や輸出対策など従来から実施しているものに加え、干ばつにより不足する水資源の確保のための対策などが盛り込まれている。 連邦政府は、単年度予算とともに事業実施期間分の総予算額を併せて計上している。農業に関連した新たな予算概要は次のとおり。 ○水資源の確保など国土保全のための対策として3年間で1億1,210万豪ドル(113億2千万円) ○広域的な環境管理の対策費用として5年間で20億豪ドル(2,020億円) ○農業強化のための対策(Agriculture-Advancing Australia:AAA)費として4年間で2億8970万豪ドル(292億6千万円) ○食品産業競争力強化のための対策費として4年間で7,570万豪ドル(76億5千万円) ○そのほかの農業関連対策として、農民などの環境対策費として5千万豪ドル(50億5千万円)、検疫強化などの対策として1,270万豪ドル(12億8千万円)、国際的な農業協力のための資金として770万豪ドル(7億8千万円)などが予算化されている。 予算案に関し、農業団体は歓迎の姿勢今回の連邦政府予算案について、農業団体はおおむね好意的に受け止めている。 国内最大の規模を誇る全国農業者連盟(NFF)は報道機関の取材に対し、「今回の予算案は画期的な転換があった」と評価し、予算額の過不足については触れないながらも、水資源の新たな管理などを盛り込んだ予算案を歓迎した。また、肉牛生産者で組織する豪州肉牛評議会(CCA)は「今回の予算案は、豪州の肉牛産業のさらなる成長を支えるための資金提供」と歓迎の声明を発表した。CCAでは、肉牛生産者は、環境、陸上輸送に大きく依存しているとした上で、環境対策の強化や輸送網の整備は、肉牛産業に大きく寄与し、国土面積の48%に分布する肉牛生産農家にとっても大きな励みになるとしている。 |
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