酪農経営における生産性の改善進む(豪州)


1991/92年度からほぼ隔年ごとに酪農経営における実態調査を実施

 豪州農業資源経済局(ABARE)は5月3日、2004/05年度の酪農家における技術導入および経営方法に関する実態調査を公表した。この調査では、酪農家における搾乳施設における乳牛管理、補助飼料の導入、牧草管理、肥料管理および繁殖方法などの状況を対象としている。

 これによると、ヘリンボーン型やロータリー型といった効率的な搾乳施設の整備が進むとともに、経営面では効率的な飼料生産・貯蔵、飼養管理および適切な肥料利用などが進展し、その結果、酪農経営における生産性の改善が図られている。

  この調査は、1991/92年度からほぼ隔年ごとに実施され、今回で7回目の調査となる。


効率的な施設整備や経営管理により労働生産性が向上

 豪州における酪農家1戸当たりの最大の平均搾乳牛頭数は、1991/92年度から2004/05年度の間に115頭から191頭と66%増加した。また、搾乳牛1頭当たりの乳量は、この間、4,054トンから5,163トンと27%増加した。一方、平均的な搾乳に要する時間(2時間)および搾乳従事者数(2名)は、この間、大きな変化がない。このため、労働者1人当たりの労働生産性が大幅に向上している。これは、乳牛の遺伝的改良、搾乳施設管理の改善、補助飼料の利用および集約的な牧草管理といった技術および経営管理方法の改善によるものとしている。


搾乳施設は86%がヘリンボーン型に。施設管理も改善進む

 搾乳施設の管理状況については、1991/92年度から2004/05年度の間により効率的な施設の整備が進んだ。この間、ヘリンボーン型の搾乳施設の占める割合は64.9%から86.0%と大宗を占めるまで増加。また、ロータリー型も3.5%から10.8%に増加した。一方、ウォークスルー型は19.8%から3.1%と大幅に減少した。また、貯乳タンクの大容量化が進んでいる。容量が4,500リットル以上の貯乳タンクを保有する酪農家の比率は、この間、6%から57%に増加する一方、1,500リットル以下の酪農家は47%から10%に減少した。

 さらに施設管理面では、毎年ミルカーの能力試験を行っている酪農家は1991/92年度から2004/05年度の間に55.8%から82.5%に増加し、よりきめ細かな管理が行われている。


補助飼料を利用する酪農家は93%に増加。一方、農場におけるサイレージ生産も増加

 飼養管理については、豪州の生乳生産が牧草を基本としている中で、この20年の間に集約的な生産システムへの移行が進んだ結果、飼料の生産・供給システムに変化が見られる。

 搾乳牛に濃厚飼料や穀物を補助飼料として給与する酪農家の比率は、1991/92年度から2004/05年度の間に80%から93%に増加している。同時に乳牛1頭当たりの濃厚飼料、穀物および副産物飼料の給与数量は、この間、0.58トンから0.90トンと55%増加しており、濃厚飼料や穀物など牧草以外の飼料への依存度が高まっている。

 また、酪農家では、購入飼料が増加する一方で、サイレージや乾草の自家生産が増加している。酪農家1戸当たりのサイレージ生産量は、1991/92年度から2004/05年度の間に64トンから170トンと大幅に増加。また、乾草収穫量は97トンから142トンに増加している。この結果、酪農家における飼料保有量が増加しているが、調査結果では、干ばつ対策やオフシーズン生産への対応をその理由として挙げる酪農家が増加している。

 また、肥料管理については、62%(2004/05年度)の酪農家が土壌の試験・分析を実施している。このうち83%の酪農家がその試験・分析結果を踏まえて肥料の種類を変更したり、施肥量の調整を行うとともに、その約半数の酪農家が肥料の施用計画を作成しているとしている。


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