都市部での家きん飼養を禁止 ● インドネシア


都市部での家きん類飼養を禁止

 インドネシア政府は1月15日、国内でまん延している鳥インフルエンザ(AI)のヒトへの感染防止を図るため、都市部住宅地におけるニワトリ、アヒルなどの家きん類の飼養を禁止する方針を決定した。

 同国では、ジャカルタなどの都市部住宅地でも家きん類が飼養されており、同国農業省は、養鶏場で飼養されている家きん類については衛生管理が容易であるものの、住宅地における小規模な庭先養鶏については、その実態上管理が難しいとの認識を示している。

 同国政府は、ジャカルタ特別州でAI感染が拡大した原因について、住宅地で飼養されている家きん類がAIウイルスを媒介したためと指摘しており、当面は、AI発生により大きな被害を受けているジャカルタ特別州と隣接するバンテン州および西ジャワ州に対し、家きん類の飼養制限に必要な条例などの制定を指示した。

 また、同国政府は家きん類の都市部での飼養禁止措置について、現在はジャカルタ特別州など3州を対象としているが、さらにジャワ島の中部ジャワ州や東ジャワ州、スマトラ島のランポン州、北スマトラ州および西スマトラ州、スラウェシ島の南スラウェシ州をAI感染の高リスク地域として、家きん類の飼養禁止措置などを検討するように各州政府に対して要請するとともに、最終的には全国33州に適用範囲を拡大する意向を表明した。

 併せて、今後、AIの感染拡大を防止するために、同国内のウェットマーケットなどにおける生きた家きん類の売買についても禁止する方針を打ち出しており、養鶏場や食肉処理施設を整備の上、住宅地から隔離することも検討している。

 このような政府の方針に対し、同国養鶏農家協会(PPUI)は、多くの養鶏場が閉鎖に追い込まれる可能性があると懸念を表明している。さらに、一部の自治体からは、中小家きん飼養業者への配慮が必要であるなどの意見も出されている。


ジャカルタ特別州では2月1日より都市部での家きん類の飼養を禁止

 ジャカルタ特別州は、中央政府の方針を受けて、2月1日以降、同州内の都市部住宅地での家きん類の飼養を禁止することを決定し、あらかじめ1月17日に同州内の庭先飼養の家きん類を1月中に処分するように指示した。処分方法としては、食用として消費または販売するほか殺処分を挙げている。ただし、研究目的あるいはペットとして飼育する場合は例外とするが、州政府機関が発行する証明書の取得を義務付けている。この証明書の発行は無料で行われ、6カ月ごとに更新する予定としている。なお、1月末時点における証明書の請求は約2万8千件に上り、ペットなどとして飼育されている家きん類の約80%に該当するとしている。

 同州政府は、1月下旬より家きん類の大量殺処分を開始したほか、2月1日以降、住宅地への立ち入り調査も実施され、無許可で飼養されている家きん類の摘発が行われている。同州畜産 水産庁長官は、家きん類の飼養禁止を決定してから約10万羽の家きん類を殺処分したとしている。


WHOへのAI検体の提供を条件付きに

 同国政府は、今年に入ってから世界保健機関(WHO)など国外の研究機関に対し、国内で発生したAI検体の提供を拒否する方針を示すとともに、研究機関などに提供したAI検体が医薬品開発などに利用されていることから、製薬会社などからの見返りを要求する方針も表明していた。

 この背景としては、同国政府が提供したAI検体が商業利用にも供されており、開発されたワクチンが高価なため同国が取得できないなどの理由があるとされている。すでに、同国政府は米国の大手製薬会社とAI用ワクチンの開発で基本合意に達したとしており、今後は共同でワクチン開発を行うとしている。
WHOは、ワクチン開発に影響を及ぼすとして、この様な同国政府の方針に対し懸念を表明していたが、同国政府は、開発されたワクチンが入手可能な仕組み作りを条件として、WHOに対する検体提供を再開する意向を示していた。

 同国政府は3月1日、WHOからAI検体を商業目的で利用しない旨の連絡があり同国政府の主張が認められたとして、WHOに対する検体提供の再開を表明した。


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