米国農務省、鳥インフルエンザ対策などに関する国際連携を強化


FAOとの農業分野に関する技術協力に合意

 ジョハンズ米農務長官は3月14日、米国農務省(USDA)と国連食糧農業機関(FAO)が、農業分野において協調して技術支援を行うための枠組み協定に合意したことを公表した。

 今回の合意について、USDAは、慢性的な飢餓、世界的なまん延が懸念される鳥インフルエンザなどの動植物の疾病、農業生産環境の保全、遺伝資源問題および再生可能燃料の需要拡大など農業が抱えるさまざまな課題を解決するための一助となることを期待している。

 また、同農務長官は今回の公表に際し、世界規模によるH5N1型の高病原性鳥インフルエンザの対策強化が、現在の最優先課題であるとするとともに、「今回の合意は、広範囲におよぶ農業分野の課題に関する双方の不足する部分を補完し合い、かつ相乗効果を促進させるものであり、さらに、米国内における農業システムを保護するための支援となるものである」と述べた。


国際機関も国内外における鳥インフルエンザ対策強化の必要性を強調

 国際獣疫事務局(OIE)、FAOおよび世界保健機関(WHO)は、2月2日にローマで開催された世界家畜衛生問題に関する年次総会において、世界の多くの諸国では鳥インフルエンザ対策における実質的な進歩が見られるものの、継続的にウイルスがまん延する一部の諸国における財政措置が不十分であることなどにより、世界は危険にさらされているとする懸念を表明するなど、国際機関はこれまでにも、高病原性鳥インフルエンザに対する国内外における政治的かつ財政的な関与の必要性が不可欠であることを主張した。

 今回合意されたUSDAとFAOによる協定の下、家畜疾病に関する危機管理センターがローマに創設された。USDAによると、同センターでは、H5N1型の高病原性鳥インフルエンザに焦点を当てた分析などが行われ、家畜疾病の予防およびまん延防止のための国際的な対策が講じられることになるとしている。


米国における鳥インフルエンザ対策について説明

 また、同農務長官は同日、米国が高病原性鳥インフルエンザの国内侵入を防止するため、(1)諸外国の専門家を対象とした対策会議の開催などの国際的な取り組み、(2)渡り鳥など野鳥の監視、(3)不正輸入の取り締まり強化など家きんおよび家きん肉製品などの監視、(4)鳥インフルエンザに関する調査研究−の4つの分野に重点を置いてこれまで取り組んできたと説明した。

 このうち、USDAは、同内務省(DOI)および各州などと連携して実施してきた野鳥の監視強化について、2006年では、すべての州において10万羽以上の野鳥からサンプルを採取した結果、H5N1型の低病原性鳥インフルエンザの感染を6事例確認した。

 USDAなどでは、本年4月以降についても渡り鳥など野鳥に対する監視を継続するとしており、特に、昨年収集したデータを基に、リスクの高い鳥の種類および地域にサンプル採取の焦点を当てながら実施することとしている。


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