2006/07年度の酪農経営、一転して赤字経営に


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 酪農家当たりの農家収益は約8万ドルの大幅赤字 ● ● ●

 デイリー・オーストラリア(DA)はこのほど、2006/07年度(7〜6月)における酪農経営の見通しを公表した。これによると、酪農家一戸当たりの現金売上は、前年度比6.7%減の40万豪ドル(約3千9百万円:1豪ドル=96.8円)と減少したのに対し、現金支出は同10.7%増の37万9千豪ドル(約3千7百万円)とかなりの程度増加する見込みとなった。その結果、前者から後者を控除した現金収入は同75.2%減の2万2千ドル(約210万円)と、8万ドル台を記録した前2年度と比較すると大幅に落ち込んでいる。さらに、現金収入から労働費や原価償却費などを減じた農家収益は、1万8千豪ドル(約170万円)の黒字となった前年度から一転して8万1千ドル(約780万円)の赤字を記録するとされるが、これは、前回の大規模な干ばつ時(2002/03年度)の赤字幅をも下回ることとなる。

酪農家一戸当たり経営状況


● ● ● 5割増の飼料費が経営を大きく圧迫 ● ● ●

 2006/07年度の現金支出が増大した最大の要因は、最大級とされる2006年からの干ばつの影響で飼料費が高騰したことによるもので、2006/07年度の酪農家一戸当たりの飼料費は、前年度比51.9%増の14万3千豪ドル(約1千4百万円)と大幅に増加すると見込まれている。支出面で飼料費に次いで大きい家畜導入費は、酪農家が干ばつにより搾乳牛を減らしたことで同20.1%減の6万8千豪ドル(約658万円)と大幅に減少するものと見られている。なお、酪農家一戸当たりの借入金は年々増加し、2006/07年度は同12.6%増の51万4千豪ドル(約5千万円)とかなり大きく増加するとされる。

 一方、現金売上が40万豪ドルを維持したのは、生乳売上高が同9.0%減の33万豪ドル(約3千2百万円)と減少したものの、国際的な乳製品ひっ迫を受けて各乳業会社が一定量の生乳を確保するために生産者乳価を相次いで引き上げたことが要因とされる。なお、豪州の乳業各社は、国際的な乳製品価格上昇をにらんで、新年度の生産者乳価を引き上げる動きを見せており、豪州最大手のマレー・ゴールバン酪農協が、前年度より35%の大幅引き上げを提示するなど、各社が軒並み3割以上の乳価の引き上げを示唆している。


● ● ● 高水準の生産者乳価、酪農経営好転の可能性も ● ● ●

 豪州資源経済局(ABARE)は、高水準の生産者乳価が今後数年間は期待されることから、来年度にかけての酪農家の生産意欲は引き続き高いとしている。さらに、今後の干ばつや飼料価格、水利など不確定な要素があるとしながらも、将来的には乳牛群の再構築が進み頭数も増加することから、今後数年間にわたり酪農経営に大きな利益をもたらす可能性もあるとしている。


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