欧州委員会は7月24日、EUの2007年の穀物を含む作物生産予測を公表した。今回の予測は、6月以降の熱波、干ばつ、集中豪雨などの影響を考慮したものとなっている。
穀物生産量は直近5年間の平均を下回ると予測
この予測によると、2007年の穀物生産量は2億7,600万トンとしており、前年と比較すると約1千万トン上回っているが、直近5年間(2002〜2006年)の平均と比較して1.6%(5百万トン)下回っている。また、作付面積も直近5年間の平均と比較すると2.3%減少となっている。これは、当初、暖冬や春まで続いた暑さが作物の成長を後押ししていたが、6月以降の北部の豪雨による洪水、中東欧の熱波や干ばつの影響を受けて、収穫量が減少すると予測していることが背景となっている。
トウモロコシ生産量はかなりの程度下回る
種類別に見ると、2007年のトウモロコシの収穫量は、1ヘクタール当たり6.42トンとしており、直近5年間の平均数量と比較すると0.8%減と微減となっている。生産量は、5,500万トンと直近5年間の平均数量と比較すると8.9%減とかなりの程度下回る予測となっている。また、小麦では、直近5年間の平均数量と比較すると2.3%増の1ヘクタール当たり5.2トン、生産量は同1.2%増の1億3,200万トンとなっている。
穀物生産量の多い国を見ると、フランスではトウモロコシの収穫量は、1ヘクタール当たり8.91トン(直近5年間の平均比5.9%増、前年比4.2%増)、イタリアは同9.52トン(同6.7%増、9.0%増)と、ともに増加傾向の予測となっている。なお、生産量は、フランスが1,280万トン、イタリアが975万トンとなっている。
各地で豪雨、熱波の影響により収穫量が減少
当初、温暖な気候により全般的に順調だった作物の成長は、6月以降の各地の豪雨、熱波などの影響を大きく受けている。
北大西洋や北海周辺では季節外れの豪雨に見舞われている。6月以降の降雨量は、英国、フランス北部、ドイツ北部、ベネルクス3国、デンマーク、ノルウェーおよびポーランド北部で150ミリメートル以上となっており、一部で穀物の収穫に打撃を与えている。さらにピーク時では、ノルウェーで260ミリメートル、英国北部の445ミリメートルと記録的な降雨量となっている。
一方、中東欧諸国では6月下旬以降、高気圧に覆われ水不足が続き、深刻な穀物不足を予測している。特にブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアおよびチェコでは、この熱波の影響を大きく受け、2007年の穀物収穫量は、直近5年間の平均と比較して大幅に下回る予測となっている。このうち、トウモロコシの収穫量の予測は、ブルガリアでは直近5年間の平均と比較して40.4%減、ルーマニアでは同17.7%減と大幅に、またハンガリーでは同6.7%減とかなりの程度減少している。欧州委員会は、このまま熱波が続けば、これらの国々の穀物生産はさらなる打撃を受けるとしている。
EU27の1ヘクタール当たりの収穫量
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