収益は1兆円を突破、支払乳価はキログラム当たり4.46NZドルへと上昇
ニュージーランド(NZ)の生乳生産量の9割以上を扱う最大手乳業会社フォンテラは7月25日、2006/07年度(6〜5月)の生産者への最終支払乳価について、乳固形分キログラム当たり4.46NZドル(419円:1NZドル=94円)に確定したことを発表した。これは、今年5月に同社が示した最終見通しから11NZセント(10円)の引き上げとなる。また、同日に発表された同社の一部決算見通しによると、同年度の利益金は、国際市況と乳製品生産量がいずれも好調であったことから、前年度比6.9%増の139億NZドル(1兆3,066億円)に達したことが明らかとなった。
取扱乳量は過去最高、高値で推移する国際市況も追い風
2006/07年度のNZの生乳生産動向をみると、平年並みの気象条件に恵まれたことで牧草の育成状況がおおむね良好であったこと、また、乳製品の国際価格が高水準で推移していることなどを背景に酪農家の生産意欲が刺激され、全体の生乳生産量は前年度実績を上回ったとみられている。この結果、2006/07年度の取扱乳量についてフォンテラは、乳固形分換算で過去最高となる12億4,600万キログラム(前年度比3%増)に達し、乳製品生産量も同じく過去最高を記録したとしている。
一方、2006/07年度の乳製品の国際市場は、豪州での干ばつや、EU、米国など主要乳製品輸出国での生乳生産量の低迷により市場供給量が減少する中で、原油産出国や発展途上国などを中心に乳製品への需要が高かったことで、需給は依然としてひっ迫傾向が続いている。このため、乳製品の国際価格は高止まりが続き、生産する乳製品の大部分を輸出に向けるフォンテラにとっては、NZドル高で推移する為替相場にもかかわらずこれが追い風となり、収益の増加に大きく寄与する結果となった。
酪農家への支払は、一戸当たり平均4千万円を突破
最終支払乳価が当初予測よりも上昇したことで、2006/07年度にフォンテラに対して生乳を供給した酪農家1万1,600戸への支出は、一戸当たり平均48万3千NZドル(4,540万円)、総額にして56億NZドル(5,264億円)となる。最終乳価引き上げの発表に対して酪農家からは、肥料価格や光熱費が上昇する中で経営環境は厳しくなっているとしながらも、この結果には満足との声が多く出ている。
フォンテラは、2007/08年度の暫定乳価について、引き続きひっ迫傾向が続く国際市況により乳製品価格は高止まりとの見通しから、キログラム当たり5.53NZドル(520円)と大幅な引き上げを発表している。世界の乳製品輸出市場に占めるNZの割合は28%(2005年実績、生乳換算)とEU(34%)に次ぐ高い位置を占めており、国際相場の動向が生産者への支払乳価に大きな影響を与える。
フォンテラの支払乳価の推移(乳固形分キログラム当たり、単位:NZドル)
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