2007年上半期の豚肉と生乳生産は引き続き好調(フィリピン)


2007年上半期の農業生産額成長率は3.5%

 フィリピン農務省農業統計局(BAS)は8月13日、2007年上半期(1〜6月)の農業生産状況を公表した。農業部門全体における生産額(85年指標価格)は、前年同期比3.5%増の1,597億ペソ(約3,993億円:1ペソ=2.5円)となり、比較的好調であった第1四半期の成長率をほぼ維持している。

 部門別では、作物部門の生産額が最も多く同2.6%増の750億ペソ(約1,875億円)となり、次いで水産部門が同7.2%増の435億ペソ(約1,089億円)となった。同国では、テラピアなどの養殖に力を注いでいるほか、水産資源の回復によりイワシやマグロなどの漁獲量が増加していることから、水産部門の農業生産額に占める比率が年々増加している。

 畜産関係については、家畜部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)が同2.6%増の202億ペソ(約506億円)、家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)はほぼ前年並みの210億ペソ(約524億円)となった。なお、農業生産額に占める比率については、水産部門の生産額がかなりの程度増加していることから、家畜部門、家きん部門ともに低下している。


豚肉と生乳生産は引き続き好調

 家畜部門の生産量を品目別にみると、豚肉が同3.1%増の92万トン、生乳が同4.4%増の7千トンと第1四半期に引き続き増加傾向で推移しているほか、水牛肉が同5.2%増の6万6千トンとなった。このほか、ヤギ肉はほぼ前年並みの3万9千トン、牛肉は同1%減の11万5千トンとなった。

 フィリピン農務省(DA)は、2007年における豚の飼養頭数を前年比3.2%増の1,346万頭、乳用牛の飼養頭数を同7.1%増の1万2千頭と予測していることから、豚肉および生乳の生産量については今後も好調に推移するものと見込まれる。DAは豚肉生産量の増加について、アジア諸国や米国などへの輸出量の増加によるものとしている。水牛肉については、近年、生産量が減少傾向で推移してきたが今期は増加に転じている。水牛は、北部のルソン地域で全体の42%、中部のヴィサヤ地域で24%、南部のミンダナオ地域で34%が飼養されているが、このうちルソン地域とヴィサヤ地域における飼養頭数の増加が今期の増加に反映されているとしている。また、DAはヤギの飼養頭数が、前年よりも8.1%増加すると予測している。このうち、ヤギ生産量の4割を占めるミンダナオ地域では、現在、サウジアラビア政府からヤギの輸入についての打診があり、生産拡大に向けた方策を検討しているとされる。

 家きん部門の生産量については、鶏肉生産量がほぼ前年並みの55万トン、鶏卵が同1%増の16万1千トンとなった。一方、アヒル肉とアヒル卵については、それぞれ同5.5%減の2万2千トン、同7.3%減の2万5千トンと前年同期に引き続き減少傾向で推移している。


トウモロコシは生産目標を下回る

 作物部門のうち、主要作物である米(もみ米)の生産量が同2.9%増の672万8千トン、トウモロコシは同5.7%増の275万3千トンとなった。DAは今年上半期における生産量を、米については663万1千トン、トウモロコシについては281万トンと予想していたが、トウモロコシについては前年同期を上回ったものの、生産目標は下回る結果となった。ただし、DAはハイブリッド品種の利用増加や耕作地の増加による効果がみられるとともに、上半期に生産されたトウモロコシの品質はとても良好としている。

2007年1〜6月農作物生産量および生産額(単位:千トン、百万ペソ、%)


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