輸出単価、輸出量とも中期的に伸びとの見通し


◇絵でみる需給動向◇


2006/07年度の牛肉輸出量は前年度比3.7%減、一方で輸出単価は上昇

 ニュージーランド農林省(MAF)が昨年公表した牛肉需給に関する中期見通しによると、牛肉生産量の減少などから低下傾向で推移してきた輸出量は、2007/08年度(7〜6月)を境に、緩やかながらも増加に転じるとしている。一方、輸出額については、為替の影響があるものの中期的には上昇としている。また、最近の牛肉輸出状況についてMAFでは、ニュージーランド(NZ)最大の牛肉輸出先である米国で、最近のバイオエタノール需要を背景とした飼料穀物価格の上昇により、国内の牛肉価格が上昇傾向にあり、割安感のあるNZ産牛肉への需要が高まっているとみている。

 2006/07年度の輸出を品目別の輸出単価で見ると、加工向けが1キログラム当たり平均252NZセント(227円:1NZドル=90円)と前年度比8.2%高、また、加工向け以外の牛肉は同332NZセント(299円)と同じく6.8%高となった。一方で、輸出量は牛肉生産の減少により、前年度比3.7%減の36万7千トンに減少した。


中期見通し、輸出需要の高まりから輸出単価、輸出量ともに上昇

 2007/08年度の見通しについてMAFでは、米ドルに対してNZドル高で推移する為替相場が輸出に大きく影響するとみており、輸出単価は前年度に比べて加工向けで0.6%、加工向け以外で0.9%、それぞれ下落を予測している。一方、牛肉輸出量については、牛肉生産量が2008/09年度まで上昇傾向で推移することから、2007/08年度は前年度比0.1%増の37万1千トンを見込んでいる。

 2010/11年度までの中期見通しとして、NZドル高で推移する為替相場が下落との見通しもある中で輸出環境は改善としている。2010/11年度の輸出単価は加工向けで1キログラム当たり288NZセント(259円)と2006/07年度比で14%高、加工向け以外の牛肉は同357NZセントと同じく7.5%高を予測している。また、輸出量については、牛肉生産量は中期的に伸び悩むものの、輸出需要の高まりから、緩やかながらも増加に転じ、2010/11年度は2006/07年度比3.8%増の38万1千トンとしている。


NZ北島、降雨量の減少で肉牛出荷が加速、来年度の牛肉生産に影響も

 現在のNZの牛肉需給状況を見ると、NZ北島の主要肉牛生産地域一帯では、昨年10月以降、降雨量が大幅に減少しており、放牧環境が急速に悪化している。このため、肉牛生産者の多くは肉牛の出荷を早めており、特に雄子牛の出荷増が目立つなど、と畜頭数は例年以上に伸びている。牛肉関係者の間では、雄子牛のと畜頭数拡大は、将来的な牛肉生産の減少につながるとみており、2008/09年度の牛肉生産への影響を懸念する声が出始めている。なお、現地の報道によると、特に降雨量の少ない地域では、放牧環境の悪化で飼料となる牧草が不足しており、最高で25%程度の飼養頭数削減が行われている。

牛肉需給中期見通し(輸出単価、輸出量)


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