国際穀物フォーラム(農林水産省・外務省・国際穀物理事会主催)が、東京で昨年12月5日に開催され、そこで行われた国際穀物理事会(IGC)による2007/08年度の穀物(小麦+粗粒穀物)需給見通しによると、生産量は回復基調にあるものの、穀物由来のバイオ燃料など、急速に拡大する需要に、生産が追いつかないとの見方が示されており、需給はひっ迫傾向にあると指摘されている。
さらに、海上運賃が急騰していることから、海上輸送にかかる経費が、実際の積荷の価額よりも高くなる状況が起きており、これも穀物輸入のコストを引き上げていると指摘されている。
生産は回復基調にあるが、需要の伸びには対応できず
IGCによると、2007/08年度の穀物生産量は回復が見込まれるが、2007/08年度の生産量の増加は8,900万トンと、生産量が落ち込んだ1995/96年度(筆者注:米国の天候不順による不作などにより、在庫は80年代前半の水準まで下がり、国際価格は1996年4月から7月にかけて高騰)から翌年度の増加量の6割程度と少なく、生産量の伸びの低さが懸念されるとしている。
主要生産地域の気候変動から減少した小麦生産量は、2008/09年度の世界全体の作付面積が4%程度拡大することにより、生産量の増加が見通されている。ただし、生産に直結する作付け作目の選択は、言うなれば、主要穀物であるトウモロコシ、大豆、小麦の3品目で、2つの椅子を競い合っている「椅子取りゲーム」の状況であるとしており、現在、生産農家は今後の作付けを、トウモロコシにするのか、大豆にするのか、もしくは小麦にするのかという選択に、直面しているところであるとしている。
世界全体の穀物(小麦+粗粒穀物)需給について
在庫は著しく低下
IGCによると、2007/08年度(6月末時点)の穀物在庫量は、前年度を3.0%下回る2億5,500万トンとされ、1977/78年度以降、30年ぶりとなる低水準が見込まれている。また、主要輸出5カ国(アルゼンチン、豪州、カナダ、EU、米国)の在庫量は9,700万トンの水準まで落ち込んでおり、これは、2004/05年度の在庫量1億5,700万トンの6割程度の水準であり、その際立った低さが指摘されている。
さらに、在庫水準について、次の留意点が挙げられている。(1)過去最低であった1977/78年の2億2,200万トンと2007/08年度の2億5,500万トンは、量的には同程度の水準だが、消費量は、その時よりも6割ほど伸びているため、消費量の違いを考慮する必要があること、(2)在庫量は、各国の穀物年度末の在庫量を足し上げており、例えば、小麦では、各国間で半年もの開きがあることから、在庫量は、実際には毎月ごとに波を打ち、8、9月になると新穀が加算されることで、回復するということ
穀物価格の上昇から、貿易量は減少
2007/08年度の世界における小麦の貿易量は、供給量が非常にタイトになっている中にあって、小麦価格の高騰が輸入国の購買力を減少させたことから、前年度を6.3%下回る1億400万トンが見込まれている。IGCによると、穀物貿易は、穀物を輸出できる国に限りがあるため、供給量がひっ迫している状況で、主要輸出国の生産量が減少した場合、市場の不安定化を伴うことになるとの危ぐが指摘されており、事実、トウモロコシと大豆の輸出量については、米国、ブラジル、アルゼンチンの3カ国で、全体の9割が占められているとしている。
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