2008年豚肉生産量、わずかに減少の予測


◇絵でみる需給動向◇


2008年は前年比0.5%減の2,237万トンの予測

 2007年のEU産豚肉をめぐる状況は、枝肉価格の低迷や飼料価格高騰による生産コストの上昇などにより非常に厳しいものであった。また、ユーロなどの欧州通貨は対ドルや円で上昇を続けており、EU域外への豚肉輸出には逆風が続いている。欧州委員会では、このような状況に対処するため、2007年10月には民間在庫補助、11月には輸出補助金の再開などの豚肉需給の改善策の実施に取り組んでいる。

 厳しい状況が続く中、2008年の豚肉生産動向が注視されるが、イギリス食肉家畜委員会(MLC)が公表した豚肉需給予測によれば、2008年のEU27カ国の豚肉生産量は、前年比で2.4%増加した2007年に比べ、0.5%減の2,237万トン(枝肉換算ベース)とわずかに減少するものと予測している。

EU27カ国の豚肉需給の推移


生産量第1位のドイツの飼養状況

 EUにおける豚肉生産量第一位のドイツを見ると、2008年の生産量は前年比0.4%増と予測されている。ドイツでは、近隣国で肥育された豚のと畜も多く行うことなどから、飼養動向と生産動向が必ずしも一致するとは限らないものの、その飼養動向を分析することはEUの豚肉需給を考察する上で参考となる。

 ドイツ統計局が公表した2007年11月時点の同国における豚飼養頭数は、前年同期比0.5%増の2,695万頭となっている。内訳を見ると、特に肥育豚が増加しており、子豚や育成豚も増加していることと併せて、これらがと畜されると考えられる2008年前半は前年同期に比べ豚肉生産量の増加が予想される。

 一方、繁殖雌豚については、ほかの主要生産国と同様、豚肉生産をめぐる厳しい状況の中、2007年後半には小規模農家の離農などによりと畜頭数が増加している。ドイツの場合、2007年11月時点の繁殖雌豚頭数は前年同期比で2.3%減、半年前の5月時点と比べて3.8%も減少するなど繁殖群の減少が顕著となっている。これにより2008年のドイツにおける飼養頭数は、今後の繁殖成績や肥育素豚などの輸入動向などにもよるが、子豚や肥育豚も含めて減少する可能性があると考えられる。

ドイツにおける豚飼養頭数の推移


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