米国の牛肉輸出は増加基調


◇絵でみる需給動向◇


米国の牛肉輸出は前年同期比を上回り推移

 米国農務省(USDA)によると、2007年第3四半期の牛肉輸出(枝肉重量ベース)の合計は前年同期比を上回り38.4%増の19万2,830トンとなった。

 USDAは、この大幅な増加要因として、ドル安に加え、今夏の米国南東部の干ばつの影響により繁殖め牛の出荷が加速したため、と畜頭数が増加傾向にあることも要因の一つに挙げている。

 2007年第3四半期の国別輸出量を見ると、首位は変わらずメキシコであるが、前年同期比21.5%減の6万8,860トンと大幅に減少し、2007年3月より前年同月を下回って推移している。しかしながら、2位のカナダは同30%増の4万3,530トン、日本は同433.5%増の2万2,910トンと前年同期を大幅に上回って推移している。

 このような中、USDAは11月16日、フィリピンが米国産牛肉および牛肉製品の輸入月齢制限を撤廃することについて合意したと公表した。同国はこれまで米国産牛肉の輸入を30カ月齢未満の骨なし部分肉などの輸入に限定していた。USDAによると、このような市場アクセスの拡大やドル安を背景に2008年の牛肉輸出量も好調が維持されると見通している。

牛肉輸出量

国別牛肉輸出量の推移


カナダからの生体牛の輸入が増加傾向

 一方、牛肉の輸入量(枝肉重量ベース)も増加基調で推移している。2007年第3四半期の牛肉輸入量は前年同期比6.0%増の35万1,400トンとなった。国別輸入量を見ると、豪州が同3.3%増の10万7,270トン、カナダが同5.0%減の8万7,300トン、ニュージーランドが同22.3%減の4万7,980トン、ウルグアイが同130.2%増の4万7,440トンとなっている。しかしながら、今後はドル安が輸入に与えている悪影響も見込まれている。

 カナダからの牛肉輸入量は減少傾向にあるものの、2007年に入り同国からの生体牛の輸入は、2006年を大幅に上回って推移している。これは、カナダでの飼料コストの上昇や、カナダドル高などの影響により、牛肉よりもむしろ生体牛での輸出が促進されたためであるとされている。一方、USDAによるとメキシコは十分な降水量から牧草の生育状況が良好であり生体牛での輸入頭数が減少していることから、米国の1〜9月の生体牛の総輸入頭数は、前年同期比0.8%増の161万頭となった。

 2008年も引き続き、飼料コスト高とカナダドル高が予想されていることに加え2007年11月19日からカナダ産牛肉の輸入月齢制限が撤廃されたことをうけ、来年度もカナダからの生体牛の輸入が続くと見込まれている。そのため、2008年は2007年の240万頭(推定値)を8%上回る260万頭の輸入が予測されている。

国別輸入量の推移

カナダからの生体牛輸入頭数


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