飼料価格高騰、枝肉価格低迷が離農を加速
EUの多くの加盟国では、ここ数カ月の子取り用めす豚のと畜頭数が、前年に比べ増加している。MLC(イギリス食肉家畜委員会)の分析によれば、飼料価格の高騰や豚枝肉価格の低迷など生産現場を取り巻く環境の悪化により、多くのEU加盟国において養豚経営の離農が加速しているためと見ている。
なお、これらの国では、11月中旬時点で枝肉価格は前年より5〜7%ほど低下している一方で、飼料価格は50%以上上昇していると見られている。
主な加盟国の状況
・ドイツ
MLCの傘下団体であるBPEX(イギリス養豚理事会)の統計によれば、11月中旬までの3カ月間では、前年同期比8.7%増の29万1千頭の子取り用めす豚がと畜されている。5月のセンサス結果では、同国の子取り用めす豚飼養頭数は250万頭となっており、最近の傾向から本年12月時点ではこれより減少すると見られている。この場合、2008年後半の肥育豚のと畜頭数の減少が懸念される。
ドイツの場合、デンマーク、オランダ、フランスなど同国以外から輸入される子取り用めす豚のと畜も急増しており、本年第3四半期では、前年同期比70%増の5万9千頭となっている。
・デンマーク
11月中旬までの3カ月間で、子取り用めす豚のと畜頭数は前年同期比1%減の9万4千頭となっている。ただし、と畜向け子取り用めす豚の輸出の増加と併せて、10月以降で見た場合、その頭数は前年同期比で7%増加している。
・イギリス
多くの加盟国で、11月中旬までの3カ月の子取り用めす豚のと畜頭数が増加する中、イギリスでは逆に減少している。これは、これまで輸出に回されていた子取り用めす豚由来の豚肉が、8月の同国での口蹄疫発生に伴う輸出制限措置により輸出できなくなり、と畜が控えられたことが背景にある。ただし、11月前半の2週間のと畜頭数を見ると、前年同期比76%増の1万5千頭となっており、多くの加盟国と同様、増加の傾向を示している。
・オランダ
10月中旬までの3カ月間の子取り用めす豚のと畜頭数は、前年同期比21%増の5万8千頭となっている。8月のセンサス結果では、同国の子取り用めす豚頭数は前年比3%減の110万頭と減少しており、最近の傾向からさらに子取り用めす豚頭数は減少すると見られている。ただし、産子数増加など生産性が向上しており、2008年の肥育豚のと畜頭数の大きな減少にはつながらないと見られている。
最近3ヵ月間における子取り用めす豚のと畜頭数
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