NZ大手乳業、2010年の株式上場計画を提案


株式上場により、国際市場での競争力確保に必要な資金を調達

 ニュージーランド(NZ)乳業大手フォンテラは11月15日、現在、同酪農協が保有するすべての資産および負債を新たに設立する別会社に移行し、早ければ2010年半ばに新会社の株式をNZ証券取引所に上場する計画を提案した。

 世界の乳製品市場は、ブラジル、アルゼンチンに加えロシア、ウクライナといった東欧諸国などの台頭により、今後、一層競争が激化する。また、中国などでは国内の牛乳・乳製品市場が急成長している。こうした状況において、同酪農協が国際市場でさらなる競争力を確保するためには、新たな資本の導入により豊富な資金を安定的に調達する必要があるとしている。

 NZ酪農・乳業は、長い歴史の中で酪農協という組織形態の下に成長してきたが、公開市場からの外部資本の導入は、NZ酪農・乳業にとって大きな転換点になるとみられる。


新会社の株式の35%が取引可能に

 この計画の実施プロセスとして、酪農協の出資者である酪農家による2回の投票が行われる。いずれの投票においても75%以上の支持が必要とされる。

 1回目の投票は2008年5月に行われる。ここでは、酪農協が新たに100%子会社を設立し、2つの組織体制となること、また、透明性のある生乳価格決定プロセスの導入・方策について諮られる。新会社設立後、酪農協のすべての資産・負債は新会社に移行することとなる。なお、この段階では、2つの組織ともすべて酪農家などからの出資で運営されることとなる。

 次に、2回目の投票は2年後の2010年に予定されている。ここでは、新会社の株式上場と外部からの資本導入について諮られる。

 なお、上場後の新会社の資本構成は、酪農協が65%、酪農協への出資者である酪農家が15%を保有し、残り20%が一般から出資となる。酪農協が保有する株式を除く35%の株式は、取引が自由に行われる。


新会社では、出資酪農家の参画を図るため保護要件を規定。法令などによりそれを担保

 新会社においては、酪農協への出資者である酪農家の参画を図るため、次のような保護要件を定める。また、これらの要件を変更する場合には、酪農協の出資者である酪農家の75%以上の承認を必要とする。

・酪農協は、新会社への出資比率を50.1%以下にする場合、出資者の75%以上の承認を必要とすること
・酪農協以外の者が、新会社の10%以上の株式を保有できないこと
・生乳価格の決定は透明性が確保されること
・新会社の本社はNZ国内に設置すること
・新会社は、酪農協の理念に基づき、酪農家の権利などを維持すること

 また、酪農協はこれらのことを含め、次の要件についてNZ政府と合意。政府は、これを法令などに規定し、担保することとしている。

・新会社の本社はNZ国内に設置すること。また、会長、最高経営責任者(CEO)および最高財務責任者(CFO)はNZ国内に居住すること
・酪農協以外の者が新会社の10%以上の株式を保有できないこと
・酪農協の出資者はNZの酪農家に限定すること
・新会社の50.1%以上の株式は、NZ国民が保有すること
・酪農協は、新会社への出資比率を50.1%以下にする場合、出資者の75%以上の承認を必要とすること。ただし、この場合であっても出資比率は35%以下としないこと。
・新会社の主たる株式上場の場所はNZ国内とすること


提案に対する酪農家の反応はおおむね肯定的

 今回の提案に対し、酪農協の出資者である酪農家はおおむね肯定的な反応を見せている。酪農協では、今回の提案について、今後、第1回目の投票が行われる2008年5月まで、出資者である酪農家と協議していくこととしている。


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