今年2度目の乳製品の関税率削減を実施(ベトナム)


今年2度目となる乳製品の関税率削減

 ベトナム財政省(MOF)は10月22日付け決定(86/2007/QD-BTC)により、一部の乳製品の関税率を一時的に削減する。MOFは今年8月にも同様の乳製品の関税率の一時削減を実施しており、この結果、本来の関税率から70〜80%削減されることとなる。品目別でみると、ミルクおよびクリーム(濃縮、乾燥されず砂糖・甘味料無添加)は、本来の20%から5%に、脱脂粉乳、全粉乳(砂糖・甘味料無添加)はそれぞれ10%、15%から3%に、ヨーグルトやバターミルクは30%から7%に、ホエイは20%から5%に削減される。なお、チーズやバターは8月も今回も、関税率削減の対象品目に入っていない。

 また、今回の決定により、大豆かす、落花生かす、その他の油かすを除く食品産業廃棄物や調製飼料の関税率が0%に引き下げられる。


短期的には市場価格に反映されるのは難しいとの見方

 7月の食料品の小売物価指数が前年同月比115.0%と上昇していることを受け、MOFは、8月3日付け決定(69/2007/QD-BTC)により、食肉や鶏卵、植物油、でんぷん調製品といった食品原料などとともに、一部の乳製品の関税率を一時的に引き下げた。しかしながら、世界的な乳製品価格の上昇の影響で、乳製品の小売価格が下がらなかったことを受けて、今回再び関税率の削減に踏み切った。

 しかしながら、加工業者からは、すでに年内の原材料は今夏の高値で契約済みであることや、コストに占める関税の割合が大きくないこと、包装コストや添加物の価格も上昇していることなどにより、短期的には製品価格が下がることは難しく、むしろ年明けに値上げをする可能性があるとの声が出ている。


好調な乳価に生産意欲を増す生産者

 一方、輸入乳製品価格の上昇を受けて、生産者乳価も上昇している。生乳処理工場が複数ある地域では、生乳生産が需要に追いつかないことから、生乳の獲得のためのメーカー間の競争の結果、生乳売渡し価格が年初に比べて1.4倍になった地域もあるという。好調な乳価を受けて生産者の増産意欲が高まっている一方で、農業・農村開発省畜産局では、酪農家の利益向上のためには、品種改良や生産性、生乳の保存技術の向上、分散している集乳ステーションの集約といった課題を克服する必要があるとしている。

【参考】 主な品目別の関税率の推移


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