LIPC WEEKLY
【ブラッセル駐在員 池田 一樹 9月4日発】 EUにおける牛乳乳製品の消 費拡大キャンペーンの現状と今後の方向が発表された。これによると、これまで のキャンペーンでは、スポーツ関係などのイベント活動での成果が大きく、今後 はこの方面の拡大を図ることとしている。 EUでは、牛乳乳製品の消費拡大のため、健康食品としての栄養面の啓もう普 及、および自然食品としてのイメージづくりを課題として、EUの全額負担によ るキャンペーン活動が行われている。 今回の発表によると、94/95年度には、ドイツ、英国など5カ国が新聞雑 誌、テレビといったメディアを通じた啓もう普及を実施しており、この結果、飲 用牛乳の消費量はドイツで4.1%増加したと報告されている。フランス、ベル ギーなど3カ国ではスポーツイベントを開催し、製品を展示するといった手法が 取られており、若年層での牛乳への関心を高めるのに非常に有効と報告されてい る。また、スペインでは“牛乳と健康”週間の設置などの活動の結果、1995 年1月から9カ月間で低温殺菌牛乳で23%の消費の増加がみられ、ポルトガル では“ミルクキャラバン”を設けて31カ所の海水浴場を回り、多くの関心を呼 び起こしたとされている。 95/96年度については、本年5月以降に開始されている。特に25歳以下 の若年齢層に的を絞ったキャンペーンが多く行われており、@若年層向けの新聞 雑誌やTVへのコマーシャル、Aスポーツに関連したイベントの開催や後援活動、 Bビデオやパンフレット、ポスターの配布(学校やアスレチックセンターなど) を通じた啓もう普及活動が展開されている。この年齢層に絞り込んだ理由として、 これまであまり牛乳を飲んでいなかった階層に対して、積極的に飲んでもらおう との狙いがある。キャンペーンの総予算額は908万ECUとなっており、この うち、新聞雑誌やテレビの利用に67%、スポーツイベントやセミナーの開催や 後援、ミルクの日の実施、店頭販売などのイベント活動に16%が配分されてい る。 96/97年度については、今後各国の実施主体から、具体的なキャンペーン のコンセプトが提出されることとなるが、前年度同様、25歳以下の階層を活動 の対象を第一とし、次いで、カルシウム、ビタミンの供給といった観点から妊婦、 子供、老人とすることとされている。予算総額は前年並みを予定しているが、こ れまで良好な成果を収めているイベント活動の分野については増額が予定されて いる。なお、キャンペーンは、94/95年度は牛乳のみが対象とされていたが、 以後は乳製品が対象に含まれることとなった。ただし、乳製品のキャンペーンに ついては、バター、チーズといった特定の品目に限定することは制限されており、 乳製品全体としての消費拡大が目的とされている。
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