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シカゴ商品取引所、5月からチーズ取引開始


【デンバー駐在員 藤野  哲也 3月27日発】 加工原料向け生乳の基本公式価
格(BFP)の価格形成には、全国チーズ取引所(NCE)のチーズ取引価格が
参考とされてきたが、これに代わってシカゴ商品取引所(CME)が5月に現物
取引を開始することになった。これによりNCEは、その役割を終えることにな
る。

 米国の酪農家の乳価は、連邦ミルク・マーケティング・オーダー制度の下、用
途別最低価格のプール(混合)により支払われているが、その基礎となるBFP
は、ミネソタ州とウイスコンシン州における加工用途向け生乳取引価格(M−W
価格)とバター、チーズ、脱脂粉乳などの乳製品の取引価格を参考として定めら
れている。

 NCEのチーズ取引価格は、全国のチーズ取引の指標価格として、BFP価格
の算定に当たって重要な役割を果たしている。

 しかしながら、NCEの価格形成に当たっては、一部の取引参加企業による価
格操作の疑惑が持たれ、政府の調査の結果、違法行為の立証には至らなかったも
のの、BFP価格の引き下げ要因であるとして、酪農家から不満の声が上がって
いた。

 このような中で、CMEは、5月2日からチーズの現物取引を開始することに
なった。そして、4月25日を最後にNCEにおけるチーズ取引は終了する予定
となっている。

 全国チーズ協会(NCI)とNCEでは、チーズ取引の申請が出されたCME
とコーヒー・シュガー・ココア取引所(ニューヨーク)の2つの取引所のうち、
生産地に近いという地理的優位性を重視して、CMEを選択したとしている。

 なお、CMEでは、現物取引が軌道に乗れば、その後に6月から12月程度の
先物取引も開始する用意があることも明らかにしている。

 これに対し、NCIのリンウッド・テプトン会長は、「乳業界が、今後ますま
す市場志向型に移行する中で、他の農産物と同様に、リスク・マネジメントの機
能を持つことは重要なことである」と語った。

 一方、取引所の場所がシカゴに移ったからといって、酪農家の持っているこれ
までの不満が解消されることにはつながらないとみられている。それは、ウイス
コンシン州選出のルース・フェインゴールド上院議員が、「農務長官に対してC
MEの価格をBFPの算定に用いるのは、その取引内容を見極めるまで止めるよ
うに要求するつもりである」と語ったことに代表されている。

 乳価算定方法の改定に当たっては、今後も紆余曲折が予想されるものと見込ま
れている。



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