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米農務長官、DEIPの積極的活用を表明


【デンバー駐在員 本郷 秀毅 8月6日発】グリックマン米農務長官は、先般、
現下の酪農をめぐる情勢を踏まえ、乳製品輸出奨励計画(DEIP)をウルグアイ
・ラウンド(UR)で合意した上限水準まで活用するとともに、既に、国内の食料
・栄養援助計画向けに、乳製品の買い上げ措置も講じている旨を表明した。

 DEIPは、EU等による乳製品の補助金付き輸出に対抗するため、同様な乳製
品の輸出に対して補助金を交付することにより、競合する地域における米国産乳製
品の競争力を強化し、輸出市場の拡大を図ることを主な目的としている。本計画は、
85年農業法により初めて導入され、その後、90年農業法、96年農業法と引き
継がれてきている。

 一方、本計画に基づく乳製品の補助金付き輸出については、UR合意に基づき段
階的に削減することが約束されており、米国は、実施期間の各年度における輸出の
上限数量および上限金額を設定している。

 しかしながら、これまでのところ、乳製品の国際価格が比較的高水準で推移して
きたことなどから、本計画の活用が抑制的に運用されてきたことに加え、最近、国
内の生乳価格が低迷していること等もあり、生産者は、本事業を積極的に活用する
よう求めていた。

 こうした中、グリックマン米農務長官は、先般、酪農業界に対し、米農務省(U
SDA)としては今後ともDEIPを積極的に活用することにより、米国産乳製品
にとって可能性の高い海外市場の開拓に努力する旨を表明した。

 この中で同農務長官は、DEIPの98年度(97年7月〜98年6月)におけ
る実績について触れ、これまでの1ヶ月の間に、1万8千トンを超える粉乳、バタ
ーファット、チーズに対し補助金を交付しており、既に、昨年度の上半期の実績を
超えている旨を強調した。また、国内および国際市況を踏まえた現段階での評価と
して、98年度のDEIPによる乳製品の輸出については、UR合意の上限数量で
ある137,446トンの達成が可能であるとの予測を明らかにした。

 ちなみに、98年度におけるDEIPの割当ては、それぞれ、脱脂粉乳が115
カ国を対象に92,217トン、全粉乳が97カ国を対象に7,487トン、バタ
ーファットが111カ国を対象に34,232トン、チーズが109カ国を対象に
3,510トンとなっている。

 また、同農務長官は、DEIPの積極的な活用に加えて、酪農産業の支援策とし
て、既に、国内の食料・栄養援助計画向けに、7千8百万ポンド(約3万5千トン)
以上のチーズの買い上げ措置等も講じていると、併せて表明した。




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