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【シンガポール駐在員 山田 理 1月16日発】 インドネシアでは、97年 には、国内の牛肉需要を賄うために、およそ30万頭の肥育素牛と2万4千トン の牛肉が輸入される見込みである。経済発展に伴う国民所得の向上と世界第4位 の2億もの大きな人口を抱え、国内の牛肉需要量は加速度的に増加している中、 同国の肥育素牛、牛肉の輸入は、今後も拡大していくと思われる。 インドネシアでは、今年、国内の牛肉需要を賄うために、およそ30万頭の肥 育素牛と2万4千トンの牛肉の輸入が見込まれていることが明らかとなった。 最近公表された農業省の資料によると、同国の98年の牛肉需要量は、前年比7. 7%増の49万8千トンに達する見込みである。 一方、国内生産は、173万頭の牛と24万4千頭のバッファローがと畜され、 37万トンの牛肉が生産される見込みである。しかし、約13万トンが不足する 見込みで、この不足分を輸入された素牛による牛肉生産と牛肉の輸入で賄うとし ている。 インドネシアは、現在、安い労働力と豊富な天然資源を生かし、工業国への脱 皮を着々と遂げつつあり、他のASEAN諸国と同様、順調に経済成長を続けている。 同国の1人当たりのGDP(国内総生産)は、1,000USドルに満たず、国民 の所得水準は、まだまだ低いものの、近年、徐々に向上してきている。その結果、 畜産物の消費量も急速に増加している。 牛肉の1人当たりの消費量は、年間2.35kg(96年推定値)と日本の3 分の1以下の低い水準である。しかし、着実に増加し、97年には6.0%増の 2.49kgになると見込まれている。 また、インドネシアは、1億9千万人の世界第4位の大きな人口を抱えている。 97年には、1.55%増加し、人口は 2億に近づく。牛肉の1人当たりの消費量の増加に人口増加が相乗的に作用した 結果、全体の牛肉需要量は加速度的に増加している。 この動きに対処するため、インドネシア政府は、牛肉の生産振興を図っているが、 あまりにも急速な需要の拡大に生産が追い付かないのが現状である。 このため、肥育素牛不足を解決し、牛肉の国内生産を増加させるため、91年 から肥育素牛の輸入関税を0%にしている。この結果、毎年オーストラリアなど から多くの肥育素牛が輸入され、同国内で肥育された後、食肉として流通してい る。しかし、これでも需要の拡大に追い付かず、毎年、牛肉を輸入している。 現在の1人当たりの牛肉の消費水準が低いだけに、大きな人口を抱えるインド ネシアの牛肉消費市場としての潜在力は、計り知れないものがある。今後も、同 国の肥育素牛、牛肉の輸入が、さらに拡大していくことは確実である。
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