ALIC/WEEKLY
【デンバー駐在員 本郷 秀毅 5月28日発】 米国農務省(USDA)は5月 22日、土壌保全留保計画(CRP)に係る契約申し込みに関して、1,610万 エーカー(約650万ha)の農地を承認すると発表した。また、借地料については、 1エーカー当たり50ドルから39ドルに引き下げられるなど、事業規模が縮小さ れることとなった。 USDAは5月22日、3月に行われた第15回目のCRPに係る契約申し込み に関して、1,610万エーカー(約650万ha)の農地を承認すると発表した。 この結果、1997年10月以降のCRP契約面積は、合計で2,760万エーカ ー(約1,120万ha)となり、期限切れにより再契約しない農地も多数あること から、それ以前に比べ、契約面積が530万エーカー(約210万ha)減少するこ ととなった。 CRPは、85年農業法で初めて導入され、その後、90年農業法、96年農業 法と継承されてきた。本事業は、土壌の保全を図るため、土壌浸食を起こしやすい 農地や、環境的にぜい弱な農地を対象に、農地の所有者が長期的な土壌保全利用 (草木等の永久土壌被覆作物の植え付け)を行う場合に、10〜15年間の借地料 および土壌保全経費の一部(50%以内)を助成するというものである。 今回の契約申し込み面積は、合計2,320万エーカー(約940万ha)で、こ のうち新規申し込みが520万エーカー(約210万ha)、9月30日で期限切れ になる農地の再契約申し込みが1,800万エーカー(約730万ha)であった。 結果的に契約が承認されたのは、新規契約分が440万エーカー(約180万ha)、 再契約分が1,170万エーカー(約470万ha)であった。したがって、9月 30日で期限切れになる契約面積2,120万エーカー(約860万ha)のうち、 約1,000万エーカー(約400万ha)の農地が再契約されなかったことになる。 また、借地料に関しては、これまでの1エーカー当たり50ドル(約1万4千円 /ha)に対して、今回は39ドル(約1万1千円/ha)と21%引き下げられた。 この結果、これまでの契約に比べ、新規に契約される農地に対して支払われる補助 金については、契約の全期間を通して、総額160億ドル(1兆8千億円)の節約 になるとしている。 このほか、対象農地の選定基準が改定されたことなどから、関係者の間で関心の 寄せられていたグレートプレーンズから東部への対象地域配分の移動については、 結果的に見て大きな変化は生じなかった。具体的に見ると、グレートプレーンズ諸 州のシェアはこれまでの42%から45%へと増加し、逆に、北東部、アパラチア、 南東部およびデルタ地域のシェアは12%から11%へと減少した。 USDAによれば、CRPの上限面積は3,640万エーカー(約1,470 万ha)であり、今年の秋に第16回目の契約申し込みを行うとしている。 なお、これまで生産調整的要素の強かった本事業について、グリックマン農務長 官は、もはや穀物生産の制限手段に用いるつもりはないと明言し、穀物の中長期的 な需給に強気の姿勢を示している。
元のページに戻る