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ミルクマーク、生乳販売価格が低下


【ブラッセル駐在員  池田  一樹  2月27日発】 イギリスのミルクマーク
(MM)は本年4月以降の生乳販売契約を入札により取り決めた。最近のポンド
高および先高感を背景に、販売価格は前回(96年7月)より約1割低下し、契
約数量も予定数量を下回った。MM発足後高水準で推移してきた販売価格は、発
足前の水準に戻ったこととなる。

MMは、公正取引委員会から価格設定の不透明性に対する指摘を受け、今回から

@応札数量が予定数量の9割未満の場合、仮販売価格を下げて再度入札を行う、

A 販売価格を介入価格の生乳相当価格

(IMPE)まで下げた場合は、応札数量にかかわらず入札を完了できるよう入
札方法を改善した。

第1回目の入札は、仮販売価格を、前回比−4〜8%に引き下げて行われた。引
き下げた理由は、主としてポンドのグリーンレートの切り上げと発表されている
(低迷していたポンドは現在MM発足時の水準まで回復)。切り上げにより、ポ
ンド立ての乳製品の介入価格や生乳指標価格(1月切上前25.8p/l,後24.5p/l)は
低下する。しかしながら、仮販売価格引き下げにもかかわらず、応札数量が予定
数量の75%と落ち込んだため、新規定に従い、価格を下げて再入札が行われた。
価格下げ幅は0.3p/lであり、また、最低仮契約価格をIMPE(MM算出)に設
定したため、最終入札となった。結果は、一層の価格低下にもかかわらず、1回
目同様26%の不落が生じた。さらに、安価な契約に集中したこともあって、平
均推定販売価格は23.3p/lとなり、前回に比べて1割の低下となった。この価格
は、MMの前身のミルクマーケティングボード時代の販売価格(95年7月,23.9p/l)
をも下回る。ただし、既契約分をプールした販売価格は24p/lとなり、わずかに上
回る。MMはこの結果について、ポンドの先高感から、乳業者が長期契約を嫌っ
たためとコメントしているが、いずれにせよ、応札数量が予定数量を大幅に上回
ったMM発足当初の入札とはうって変わった結果となった。
落札価格の推移  単位:p(ペンス)/l
契約区分
94年  96年       97年1月
7月   1月   7月  (1回)  2回
Premier
Ex-Farm
Fluct.
Residual
      28.0  27.1  26.0  25.7
      27.5  26.7  24.8  24.5
      26.6  25.6  24.0  23.7
      26.0  24.3  22.4  22.1
推定平均
23.9  27.0  25.8     -   23.3
(今回から、契約区分は縮小) 
 今回の落札数量     単位:万トン
契約区分
6カ月
12カ月
18カ月
合計
Premier
Ex-Farm
Fluct.
Residual
3
23
60
59
1
9
4
32
6
1
20
0
10
33
84
91
合計
147
47
26
220
MMの来年度の供給量は1万8千t/日(総量650万t)とみられる。一方4月〜9月ま
での半年間の販売契約済み数量は、今回契約分1万t/日、既契約分とあわせても
1万4千t/日である。このため、4千tを短期市場で販売することとなり、既に4月
分の売り出しが始まっている。

今回の入札結果は前回同様短期市場への傾斜(価格の低下)といった傾向がみら
れている。これは、為替相場の影響だけでなく、生乳取引が市場原理の中に着実
に組み込まれてきた一面ともいえよう。



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