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【デンバー駐在員 本郷 秀毅 5月7日発】 米国食品医薬品局(FDA)は、 先般、反すう動物用の動物性たんぱく質飼料について、これまでに提案していた規 制内容を拡大し、ほとんどのほ乳類の組織由来のたんぱく質を規制対象とする提案 を行った。他方、伝染性海綿状脳症諮問委員会はFDAに対し、ゼラチンと牛海綿 状脳症(BSE)との関係の可能性について、再検討を行うよう勧告した。 1996年3月20日、イギリス政府がBSEと人間の同種の脳症であるクロイ ツフェルトヤコブ病(CJD)との関係を示唆して以来、FDAは、食用に供され る動物の検査体制を強化してきた。その一環として、1997年1月、FDAはB SEのリスクを最小限に抑えるための7つの選択肢からなる衛生規則の提案を行っ た。今回公表された提案は、それら7つの案のうち、飼料原料面での防疫措置に焦 点を置くものである。 FDAが1月段階で公表した案では、反すう動物用の飼料として使用してならな いのは、牛、羊およびミンクの組織であるとされていた。しかしながら、今回、F DAはその規制対象範囲を、唯一豚だけを除いたすべてのほ乳類の組織由来の動物 性たんぱく質に拡大する案を提示した。今回の改正案により、動物性飼料のほとん どが豚由来のたんぱく質であったとしても、少しでも他のほ乳類の組織由来のたん ぱく質が混入していれば、その飼料は反すう動物用の飼料には利用できなくなる。 現実的には、あるたんぱく質が豚由来であるのか反すう動物由来であるのか即座に 判定する方法はないことから、ほ乳類の組織由来のたんぱく質は、ほとんど利用で きなくなることを意味する。 より具体的に規制内容をみれば、血液、血液製品、ゼラチン、検査済みで食用に 調理し供された加工肉製品(食品残し等)、乳製品および豚由来のたんぱく質のみ を含む製品を除き、すべてのほ乳類の組織由来の動物性たんぱく質が使用禁止され ることになる。 また、FDAは飼料製造業者等に対し、伝染性海綿状脳症が動物の組織を通じて 広がるのを防止することに加え、禁止された組織が反すう動物用の飼料に混入しな いことを保証するための加工処理および管理システムの確立を要求しており、さら に、これが最終的な決定ではないことを強調している。 こうした中、FDAの伝染性海綿状脳症諮問委員会はFDAに対し、ゼラチンと BSEとの関係の可能性について、再検討を行うよう勧告した。FDAは、1992年 以来、FDAの規制する製品にはBSE発生国からの牛関連製品を使用しないよう 製造業者に対して指導してきたが、製薬グレードのゼラチンについては、1994 年にその使用を追認した経緯がある。同委員会委員長は、リスクは極々小さなもの であろうが、ゼロではないかもしれないと語り、再検討の必要性を説明している。 なお、FDAによれば、ゼラチンの1人1日当たりの平均摂取量は0.3グラム であり、キャンディー、マッシュルーム、アイスクリーム、ヨーグルト、ワクチン、 口紅など、広範な消費財や医薬品の原材料として使用されている。
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