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【ブラッセル駐在員 井田 俊二 11月20日発】 オランダ政府は、このたび、 今後の豚の総飼養頭数を25パーセント削減することを目的とした法案をまとめた。 しかしながら、これに不満を持つ豚生産者団体等は、削減期間の延長等を含めた代 替案を提示した。 依然として豚コレラの発生が続いているオランダでは、濃密な飼養形態が効率的 な家畜伝染病の防疫措置の障害となっているとの認識に基づいて、このほど、政府 が豚の総飼養頭数を25パーセント削減する法案を取りまとめた。 同法案に盛り込まれた提案によると、飼養頭数の25パーセント削減は2段階に 分けて実施することとしている。第1段階は、96年の飼養頭数を基準として、2 000年までに15パーセントの頭数削減を行うこととし、その実施時期について は、可能な限り速やかに行うこととしている。また、それ以降はさらに、残りの1 0パーセントを削減するというものである。 なお、この提案は、豚飼養頭数の削減を目的として作られているものであるが、 家畜愛護を推進するための豚の管理に関する法律の改正等幅広い内容が盛り込まれ ている。こうした政策が取られる背景には、現在、オランダでは、養豚産業が直面 している問題点として、過密飼養、家畜衛生、家畜愛護、養豚の環境への影響とい った分野における諸問題が重要であるとの共通認識がある。中でも、特定地域にお いて豚の過密飼養行われていることが、疾病のまん延を早める原因とみられている。 今回の提案の背景には、頭数削減により、これらの諸問題を解消しようとする狙い が込められている。 このため、この提案では、疾病まん延防止に効果があると認められる家畜愛護お よび環境衛生対策に大きな改善のみられた農家に対しては、飼養頭数削減率の一部 または全部(25パーセント)を免除する規定が設けられている。 さらに、保有する豚に対する賦課金の導入が盛り込まれており、同賦課金は豚コ レラ等の疾病対策として取られる政府の施策資金として充当することしている。 一方、今回の提案を受けて、同法案が成立した場合、養豚経営への打撃が大きい とみたオランダの生産者団体(LTO)および家畜・食肉団体(PVA)は、共同 で次のような代替案を提示した。 これによると、生産者の競争力が急激に低下しないよう、飼養頭数の15%削減 を2010年までに行なうこととしている。さらに、環境保護基準の強化および養 豚農家における衛生水準の向上等についても、政府の提案は厳し過ぎると言及して いる。
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