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【シンガポール駐在員 外山 高士 11月20日発】 シンガポールのスーパー で販売されている牛肉は、米国、豪州、ニュージーランド産の冷凍牛肉がほとんど であるが、日系スーパーで日本から空輸された冷蔵和牛肉の販売を開始した。価格 では他国産の牛肉に比べて高い和牛肉が、シンガポールの家庭に受け入れられるか 注目される。 シンガポールのスーパーマーケットでは、米国、豪州、ニュージーランド産の冷 凍牛肉を中心に販売している。このたび、同国の日系スーパーマーケットで日本か ら空輸された冷蔵の和牛肉の販売を開始した。 畜産物のほとんどを諸外国から輸入しているシンガポールでは、牛肉についても 米国、豪州、ニュージーランド等から輸入している。この多くは冷凍牛肉で、同国 の牛肉輸入量の85%以上を占めている。また、日本からは、冷蔵牛肉を中心に、 年間数トンとわずかながら輸入しているが、主に日本料理店等の外食用として利用 され、物産展等での販売以外、一般のスーパーマーケット等ではほとんど販売され ていない。 今回、同国の日系のスーパーマーケットにおいて、日本より空輸されてきた和牛 肉の販売を開始した。和牛肉を販売するスーパーマーケットは、シンガポールの中 心街にあるメイン・ストリート(オーチャード通り)沿いの百貨店の地下食品売り 場に出店している店で、在留日本人の他、現地シンガポール人も多く買い物に訪れ る店である。また、同スーパーマーケットは、日本から殻付き鶏卵を輸入販売して いるところとして良く知られている店である。 販売されている和牛肉は、愛媛県産の和牛で、格付け成績A4クラスのものと高 品質なものとなっている。価格は、100g当たりロース(サーロイン)S$18 (1S$=約80円)、バラ(カルビ)S$13、モモS$12と米国産や豪州産 のもの(S$2〜S$4)と比べると、かなり高くなっている。売れ行きの方は順 調で、特に週末は百貨店主催の愛媛県物産展での販売ということもあり、高品質な 牛肉を求める多くの地元の人が買っていったようである。 当スーパーでは、今後も月に半頭ペースでの輸入、販売を計画しているが、フル セットでの輸入で行っていることから、モモ、ネック等のいわゆる低需要部位の効 率的な販売が成功への鍵となっている。しかし、出荷する愛媛県側は、新たな市場 として大きな期待を寄せており、売れ行きによってはパーツでの出荷も考えている ようである。 品質の面ではかなり上回っているものの、価格の面では、米国産、豪州産に及ば ない和牛肉が、安価な食材に慣れている在留日本人や、現地シンガポール人の家庭 にどこまで受け入れられるのかが注目されるところである。
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