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米国、WTO協定・国内支持の分析結果を公表


【デンバー駐在員 本郷 秀毅 10月23日発】米農務省(USDA)は、WT
O協定に基づく国内支持の分析結果を公表した。これによれば、総合的計量手段
(AMS)を用いた米国の国内農業の保護水準は、95年から98年の期間で約束
水準の27%となり、2000年にはわずか6%になるものと予測している。

 WTO協定においては、世界貿易の拡大を図るため、市場アクセス、国内支持、
輸出補助金の3分野について、それぞれ保護の削減を図ることが約束されている。
 
 このうち、国内支持については、総合的計量手段(AMS:内外価格差×支持
対象数量+国内補助金)を用いて計測することとなっており、2000年までに、
基準期間(86〜88年)の水準から20%削減することが約束されている。

 今回、USDAが公表した報告書によれば、次の2つの要因により、米国の国
内支持水準は大幅に削減されることから、WTO協定における約束水準は容易に
達成されるとしている。

 第1に、WTO協定において合意された、削減対象となる国内支持に関する規
定等である。とくに、不足払いに関する規定とAMSが産品トータルで計測され
ることとなったことが大きく寄与する。

 このうち、不足払いについては、いわゆるブルーボックスの政策とされた結果、
基準期間においてはAMSの対象(不足払いが全体の約4割を占める。)とされ
分母を大きくしておきながら、実施期間においてはAMSの計算の対象外とされ
たことから、米国が新たな保護削減措置を講じなくとも、既に約束水準が達成さ
れている状況となった。

 第2に、85年以降の米国の農業政策の動向が、より市場志向性を強めるとと
もに、補助金の削減に向けて展開されていることである。

 96年農業法においては、不足払い制度が撤廃され、生産弾力化契約に基づく
固定支払制度が導入された。これにより、当面の国際穀物需給を前提とすれば、
農家への補助金総額は不足払い制度よりも増加することになるにもかかわらず、
固定支払いが現在の価格または生産の水準に基づくものではないので、デッカッ
プルされた直接支払いとみなされ、AMSの計算の対象から除外されることにな
る。

 また、将来のAMSの水準については、加工原料乳価格支持制度の撤廃が大き
く寄与している。95年のAMSの75%は本制度に基づくものであり、これが
2000年以降ゼロになるからである。

 このような結果、2000年における米国のAMSは、約束水準のわずか6%
になるものと予測している。このため、次期ラウンドにおいて、国内支持の削減
についても、米国が強気の姿勢で臨んでくることは避けがたいものと思われる。



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