ALIC/WEEKLY


USDA、98年度EQIP予算配分を発表


【デンバー駐在員 本郷 秀毅 2月5日発】米農務省(USDA)は1月26日、
98年度環境改善奨励事業(EQIP)に係る総額2億ドル(約250億円)の州
別予算配分を発表した。これによれば、ノースカロライナ州等、環境問題の深刻な
州に対する予算配分額が大幅に増額される結果となっている。

 EQIPは、96年農業法により新規に導入された事業で、農業生産に伴う環境
問題を解決するため、参加農家に対し、技術支援、財政支援、教育支援に加え、環
境問題改善のための奨励事業を行う事業である。

 具体的には、参加農家が、緩衝流水草地の造成や家畜ふん尿の管理施設の造成等
の環境保全事業を行う場合に、USDAが最大75%まで補助を行うというもので
ある。また、参加農家に対し、栄養分、家畜ふん尿、灌漑用水、野生動植物などに
係る土地管理作業の実施を推進するよう奨励金が交付される。

 今回、98年度州別予算配分を発表するに当たり、グリックマン農務長官は、他
の環境保全事業に加えEQIPをてことして、自然資源のより適切な管理を促進し
ていることを強調している。

 その具体的な例として、メリーランド州ハーフォード郡では、チェサピーク湾清
浄化努力の一環として、当該地区で最大の関心事項となっている家畜ふん尿問題の
解決を図っていることを挙げている。当該地区では、EQIPの予算に加え、メリ
ーランド州農務部も助成を行っており、例えば、酪農家に対して、家畜ふん尿貯蔵
施設の改善などに対して助成を行っている。98年度予算においては、チェサピー
ク湾の排水地域における毒性のフィステリア(渦鞭毛虫)問題を解決するための、
メリーランド州の事業を支援するためにも利用されることとなっている。

 また、ノースカロライナ州では、本年度、ニュース川流域における窒素分を30
%削減するための州の助成事業(予算額80万ドル以上:約1億円)に対し、EQ
IPの予算(総額572万ドル:約7億2千万円)が70万ドル以上利用されるこ
ととなっている。同州においても、ニュース川における魚の大量死とフィステリア
の発見が全国的な注目を集め、養豚・養鶏経営、自治体の排水等による窒素過剰が
原因と目されている。このため、当該地域の農家等に対し、家畜ふん尿処理施設の
導入等を支援するとしている。

 なお、USDAによれば、初年度である97年度は、5万8千戸の農家から申請
があり、2万3千戸の申請を認可したとしている。また、本事業に対する実施要望
額は、実際の予算額の3倍以上であったとしており、本事業に対する需要の高さが
伺える。



元のページに戻る