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米中間選挙結果と農業政策への影響


【デンバー駐在員 本郷 秀毅 11月12日発】11月3日に行われた米中間選挙
の結果、共和・民主両党の上院における議席数に変化はなかったが、下院においては、
民主党が5議席増やす結果となった。上下両院における共和党の優勢に変化はないも
のの、農業政策運営の保守化は避けられないものとみられている。

 11月3日に行われた米中間選挙の結果、上院では共和党55議席に対し民主党
45議席と議席数に変化はみられなかったものの、下院においては民主党が議席数を
5増やし、共和党の223議席に対し民主党が211議席に迫ることとなった。上下
両院において、引き続き共和党が優勢を占めるため、農業政策に大きな変更はないと
みられるものの、政策運営の保守化は避け難いものとみられている。

 第1に、ファストトラック交渉権限の更新である。9月に下院本会議において行わ
れた投票の結果、同法案は、賛成180票、反対243票で否決されており、反対票
のうち171は民主党議員によるものであった。今回の中間選挙で民主党が議席数を
増やしたことにより、ファストトラック交渉権限の更新はより困難になるものとみら
れる。現在交渉中の米州自由貿易圏(FTAA)交渉に加え、世界貿易機関(WTO)
次期交渉における米国のリーダーシップが損なわれることは、避け難くなろう。

 第2に、保護主義的動きの加速化である。農畜産物価格の低迷を背景として、先般、
カナダと国境を接する州などで家畜および穀物の輸入規制が行われ、また、家畜や畜
産物の輸入に対するアンチダンピング提訴なども行われている。99年農業予算にお
いては、民主党の強力な押しにより、農家緊急支援対策の増額が図られており、この
ような動きにさらに弾みがつくものとみられる。

 注目に値するのは、共和党議員の自由貿易協定などに対する態度の変化である。93
年の北米自由貿易協定(NAFTA)実施法では、43の共和党議員が反対票を投じた。
94年のウルグアイラウンド(UR)合意実施法では、これが56となり、98年9月
のファストトラック法案では71にまで増加している。

 このような選挙結果を踏まえ、グリックマン農務長官は、「議会はこれまで以上に、
より真剣に現行農業法の実質的な変更を検討することになるかもしれない」とコメント
している。また、下院農業委員長に就任予定のコンベスト議員(共和党)も、96年農
業法の実績を検討することに意欲を示している。

 知事選挙と併せて、農業生産に関連する住民投票も実施されている。コロラド州では、
養豚経営体に対して、臭いを防止するため、ラグーンなどに覆いを設置することを求め
る規則が認可され、サウスダコタ州では、企業による農地や家畜の所有を禁止するとい
う規則が認可された。畜産関係者の間では、このような動きが全国的に拡大するのでは
ないかと懸念されている。

 なお、カナダからの家畜などの輸入規制措置の端を引いたサウスダコタ州のジャンク
ロー知事は、約3分の2の票を集め再選を果たしている。



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